2026/07/15

解説

セクハラの通報を受けた場合に企業はどう対応する?相談窓口の整備ポイントも解説

セクハラの通報を受けた場合に企業はどう対応する?相談窓口の整備ポイントも解説

「セクハラの通報を受けたが、どのように対応すればよいかわからない」「セクハラ相談窓口の適切な運用方法を知りたい」と考える企業担当者の方も多いのではないでしょうか。セクハラ通報を受けた場合、企業は相談者の保護や事実確認を行い、状況に応じて適切な対応を進める必要があります。

対応が不十分な場合、被害の拡大や職場環境の悪化、企業への信頼低下につながる可能性があります。そのため、通報を受け付ける体制だけでなく、受付後の対応フローや相談しやすい環境づくりも重要です。

そこで本記事では、

  • セクハラ通報を受けた際の初期対応と安全確保
  • 受付から処分・フォローアップまでのセクハラ通報対応フロー
  • 第三者から通報があった場合の対応
  • セクハラ相談窓口を整備するポイント

について詳しく解説します。セクハラ相談窓口の整備や、通報対応の見直しを検討している企業担当者の方に向けた内容です。

なお、パワハラの通報を受けた場合の対応については、内部通報制度でパワハラの通報を受けた企業が取る対応で解説しています。セクハラとパワハラは対応の基本に共通する部分が多いものの、本記事ではセクハラ特有の論点を中心に取り上げます。

また、内部通報制度の全体像や2026年12月1日に施行される改正公益通報者保護法については、内部通報制度とは?公益通報者保護法2026年施行・体制整備義務から実効性ある運用までの完全ガイドで解説しています。

セクハラ通報対応の前提となる基礎知識

セクハラ(セクシュアルハラスメント)とは、相手の意思に反する性的な言動によって、相手に不快感を与えたり就業環境を害したりする行為です。職場におけるセクハラは、性的な言動への拒否などを理由に不利益を受ける「対価型」と、性的な言動によって就業環境が害される「環境型」に大別されます。異性間だけでなく同性間でも起こり得るほか、性的指向・性自認に関する言動が対象になる場合もあります(出典:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」)。

なお、セクハラに該当するかどうかは、行為者の意図だけで決まるものではなく、受け手の受け止め方や職場環境への影響も踏まえて総合的に判断されます。本記事では、こうしたセクハラの通報を受けた「後」に、企業がどのように対応すべきかを解説します。セクハラの定義・種類・具体例の詳細は、ハラスメントとは?三大ハラスメントの定義・言動例10選と企業の防止対策事例で解説しています。

セクハラ通報を受けた企業が最初に確認すべきこと

セクハラ通報を受けた場合、企業は事実確認を経ないまま一方的な事実認定や処分を行うことは避けつつ、相談者の安全確保を最優先に、通報内容を迅速かつ正確に把握して調査に着手することが重要です。

初動対応を誤ると、被害の拡大や二次被害につながる可能性もあります。セクハラ通報を受けた際に、まず確認したい点は以下のとおりです。

  • 相談者の安全・体調・就業継続への影響を確認する
  • 通報内容を時系列で整理する
  • 相談者・通報者・調査協力者への不利益取扱いを防止する

相談者が安心して情報を伝えられる環境を整えたうえで、事実確認や調査へ進むことが大切です。各項目について詳しく解説します。

相談者の安全・体調・就業継続への影響を確認する

セクハラ通報を受けた直後は、事実確認を進める前に相談者の安全確保や心身の状態確認を優先することが重要です。

セクハラ被害を受けた従業員は、精神的な負担から体調不良を起こしたり、通常どおり勤務を続けることが難しくなったりする場合があります。そのため、相談窓口の担当者が確認したい点は以下のとおりです。

  • 現在もセクハラ行為が続いていないか
  • 心身の不調や勤務への影響が出ていないか
  • 行為者とされる者との接触を避ける必要があるか
  • 通常どおり勤務を継続できる状態か

相談時は、担当者の考えで判断したり、相談者を責めるような聞き方をしたりしないことが大切です。必要に応じて医療機関への相談や一時的な勤務上の配慮なども検討し、安心して話せる環境を整える必要があります。

通報内容を時系列で整理する

セクハラ通報を受けた場合は、発生した出来事を時系列で整理し、事実確認に必要な情報を抜け漏れなく把握することが重要です。

セクハラの被害を受けた相談者は、精神的な負担から当時の状況を順序立てて説明できない場合があります。そのため、担当者は無理に話を急がせるのではなく、確認すべき項目を整理しながら丁寧に聞き取ることが求められます。

通報内容を整理する際に確認したい点は、主に以下のとおりです。

  • いつ起きたか
  • どこで起きたか
  • 誰から、どのような言動を受けたか
  • 目撃者や関係者はいるか
  • メール・チャット・録音・メモなどの資料はあるか
  • 相談者が会社に求めている対応は何か

あわせて、証拠となり得る資料の保全も重要です。企業が管理するメールや業務チャット、勤務記録、入退館記録などについては、通常の保存期間やアクセス権限を確認し、必要かつ適法な範囲で削除・上書きを防ぐ措置を検討します。

相談者・通報者・調査協力者への不利益取扱いを防止する

セクハラ通報を受けた場合は、相談者や調査に協力する従業員に対して、不利益な取扱いを行わないことを事前に説明することが重要です。

相談者は「通報したことが周囲に知られないか」「人事評価や職場での扱いに影響しないか」などの不安を抱えている場合があります。不安が解消されない状態では、必要な情報を話せなかったり、相談自体を取り下げたりする可能性もあります。

そのため、企業には初回対応の段階で以下の点を明確に伝えることが求められます。

  • 相談内容や関係者の個人情報は、対応に必要な担当者に限って共有すること
  • 相談したことを理由に不利益な取扱いをしないこと
  • 調査に協力した従業員についても同様に保護すること

こうした不利益取扱いを禁止する方針は、個別の相談時に説明するだけでなく、就業規則やハラスメント防止規程、相談窓口規程などに定め、管理職を含む全従業員へ周知しておくことが重要です。

また、秘密保持については、「誰にも一切知られない」と受け取られる説明は避ける必要があります。調査を進めるうえでは、一定の範囲で情報を共有することが避けられないためです。相談者に対しては、情報は対応に必要な範囲に限って共有し目的外には利用しないことを伝えたうえで、事実確認のために相談者と協議しながら一定の情報を関係者に伝える場合があることも、あらかじめ説明しておくことが大切です。

セクハラ通報を受けた場合の企業対応フロー

セクハラ通報を受けた後は、相談内容をもとに事実確認を行い、調査結果に応じて適切な対応を検討する必要があります。対応手順が決まっていないと、確認漏れや担当者ごとの判断のばらつきにつながる可能性があります。

セクハラ通報を受けた場合の基本的な対応フローは以下のとおりです。

  1. 相談者の安全・健康状態と緊急性を確認する
  2. 相談者への初回ヒアリングを行う
  3. 調査方針と暫定措置を決める
  4. 行為者とされる者・関係者に事実確認を行う
  5. 事実認定とセクハラ該当性を判断する
  6. 被害を受けた従業員への配慮措置・行為者への措置を決定する
  7. 当事者への結果説明・記録・フォローアップを行う

ここでは、それぞれの対応の概要について解説します。

1.相談者の安全・健康状態と緊急性を確認する

詳細なヒアリングに入る前に、まず相談者の安全と健康状態、そして事案の緊急性を確認します。

現在もセクハラ行為が続いている、相談者の心身に強い負担が生じている、といった緊急性の高いケースでは、事実の聞き取りよりも先に対応すべきことがあります。主に以下のような点を確認します。

  • 現在もセクハラ行為やそのおそれが続いていないか
  • 心身の不調や勤務への影響が出ていないか
  • 行為者とされる者との接触を避ける必要があるか
  • 通常どおり勤務を継続できる状態か

緊急性が高い場合は、詳細な事実確認よりも先に、行為者とされる者との接触回避や勤務上の配慮、必要に応じた医療機関などへの相談案内を優先することが求められます。安全と緊急性を確認し、落ち着いて話せる状況を整えてから、次の初回ヒアリングに進みます。

2.相談者への初回ヒアリングを行う

安全を確認したうえで、相談者本人へのヒアリングを行い、事案の内容や現在の状況を正確に確認します。

初回ヒアリングでは、セクハラに該当するかどうかを判断するのではなく、まず相談者から事実関係を聞き取ることが重要です。主に以下のような内容を確認します。

  • 発生した日時や場所
  • 具体的な言動の内容
  • 行為者とされる者との関係性
  • 業務や体調への影響
  • 会社に希望する対応

ヒアリングを行う際は、担当者の先入観によって判断したり、相談者に責任があるような聞き方をしたりしないよう注意が必要です。また、証拠がないことを理由に相談内容を否定せず、必要な調査を進めながら事実確認を行うことが求められます。

なお、初回ヒアリングに続く調査の具体的な進め方は、ハラスメント調査の進め方を6ステップで解説。調査におけるポイントと注意点も解説で詳しく解説しています。本記事では、通報を受けた企業が判断・対応すべき論点を中心に扱います。

3.調査方針と暫定措置を決める

初回ヒアリングで相談内容を把握したら、誰に、どの順番で、どこまで確認するかを整理し、調査方針を決めます

調査方針が曖昧なまま関係者への確認を進めると、必要以上に情報が広がり、相談者の特定や二次被害につながるおそれがあります。そのため、調査範囲は事実確認に必要な範囲に限定することが重要です。

調査方針を決める際は、ヒアリング対象者・確認する順番・確認する事実の範囲・共有する情報の範囲・調査を担当する部署や担当者を整理します。特に、行為者とされる者と関係が近い人物や利害関係のある人物が調査に関与すると、公平性に疑念を持たれる可能性があります。必要に応じて、人事部門、法務部門、外部専門家などを交えながら、客観的に確認できる体制を整えることが大切です。

また、調査期間中も被害の継続や関係者への働きかけが懸念される場合は、指揮命令系統の変更、座席や勤務場所の分離、在宅勤務などの暫定的な措置を検討します。ただし、事実認定前の暫定措置が一方の当事者への制裁とならないよう、必要性・相当性・期間・業務への影響を慎重に検討する必要があります。

4.行為者とされる者・関係者に事実確認を行う

調査方針を決めたら、行為者とされる者や関係者に対して、必要な範囲で事実確認を行います。

行為者とされる者へのヒアリングでは、相談者や関係者のプライバシーを不必要に開示しないよう配慮する一方、問題とされている日時・場所・言動など、本人が適切に説明・反論するために必要な情報は示す必要があります。情報を過度に抽象化すると、十分な反論ができず、かえって調査の公正性が損なわれる可能性があるためです。開示する範囲は、プライバシー保護と調査の公正性を比較して判断します。

なお、通報内容をそのまま伝えると、相談者への接触や報復、口裏合わせにつながるおそれがあります。そのため、確認が必要な事実に絞って質問し、通報者を特定できる情報は必要以上に共有しないことが重要です。

相談者と行為者とされる者の説明が一致しない場合でも、どちらか一方の主張だけで判断することは避けるべきです。メールやチャット、勤務記録、目撃者の証言なども確認しながら、客観的な事実関係を整理する必要があります。

5.事実認定とセクハラ該当性を判断する

調査結果を整理したら、確認した事実をもとに、セクハラに該当するか、企業としてどのように対応するかを判断します。

セクハラの判断では、発言や行為の内容だけではなく、発生した状況や被害者への影響などを総合的に確認することが重要です。主に以下のような点を踏まえて判断します。

  • 対価型・環境型セクハラのいずれに該当し得るか
  • 具体的にどのような言動があったか
  • 行為の頻度や継続性
  • 当事者同士の関係性
  • 業務や職場環境への影響
  • 相談者の心身や就業状況への影響

社内だけで判断することが難しい場合は、弁護士などの外部専門家への相談や、調査委員会の設置を検討することも選択肢になります。

また、調査を尽くしても、申告された事実を確認できない場合があります。その場合も、直ちに「虚偽の通報」と判断するのではなく、確認できた事実と確認できなかった事実を分けて記録することが大切です。事実の認定には至らなくても職場環境上の問題がうかがえる場合は、ハラスメント防止方針の再周知や研修、管理体制の見直しなどを検討します。

6.被害を受けた従業員への配慮措置・行為者への措置を決定する

事実認定の結果、セクハラが認められた場合は、被害を受けた従業員への配慮措置と、行為者への措置の双方を検討します。この2つは目的も根拠も異なるため、分けて考えることが重要です。

被害を受けた従業員への配慮措置として配置転換などを検討する場合は、本人の意向を十分に確認し、望まない職種変更や通勤負担、キャリア上の不利益といった新たな負担が生じないよう配慮します。配慮措置は、行為者に対する人事措置・懲戒処分とは切り離して検討する必要があります。

行為者への懲戒処分を検討する場合は、就業規則上の根拠と手続を確認したうえで、行為の性質・程度、被害の状況、反復・継続性、過去の処分例との均衡などを踏まえ、客観的かつ相当な内容を決定します。減給や降格などの懲戒処分は企業が自由に選べるものではなく、相当性を欠く処分は無効と判断される可能性があります。判断が難しい場合は、弁護士などへの相談を検討します。

謝罪を検討する場合も、被害を受けた従業員の意向を確認し、直接の接触が新たな負担にならない方法を選ぶことが大切です。会社が当事者間の直接対面や和解を一律に求めることは避ける必要があります。

7.当事者への結果説明・記録・フォローアップを行う

調査と措置の決定が終わったら、当事者への結果説明と、記録・フォローアップまでを一連の対応として行います

調査終了後は、相談者に対し、調査が終了したこと、会社としての判断の概要、実施または予定している配慮措置、再発防止策などを、守秘義務や人事情報に配慮した範囲で説明します。処分の内容をすべて開示できるとは限りませんが、説明がないままだと相談者の不信や不安が残りやすいためです。行為者とされた者に対しても、認定の結果や会社として求める改善事項などを適切に説明します。

対応後は、一定期間を置いて相談者の就業状況や心身の状態を確認し、行為の再発や報復的な言動、職場での孤立などが生じていないかをフォローアップします。必要に応じて、勤務上の配慮や相談先の案内、職場環境の改善策を見直します。

これら一連の対応は、記録として残すことが重要です。相談・調査記録については、保存する項目・保存期間・閲覧権限・持ち出しや複製・削除のルールを定め、閲覧できる担当者を対応に必要な範囲に限定します。相談記録は機微性が高いため、一般の人事情報とは異なるアクセス制御を設けることも検討します。

受付・ヒアリング・調査・措置・記録という一連の対応を担当者の経験や個人の管理に依存していると、聞き取り内容のばらつきや記録漏れ、対応状況の管理不足につながる可能性があります。通報対応の属人化を防ぐ手段としては、AIが通報の一次受付から対応記録の管理までを支援するツールの活用も有効です。NaLaLysでも、こうした課題に対応するAI通報窓口を提供しています。
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第三者からセクハラ通報があった場合の対応

セクハラ通報は、被害者本人からだけでなく、同僚や上司などの第三者から寄せられる場合もあります。第三者からの通報であっても、職場環境の悪化や被害の継続を示す重要な情報である可能性があります。

そのため、企業は「本人からの相談ではない」という理由だけで対応を止めるのではなく、通報内容を確認したうえで、必要な対応を検討することが重要です。

第三者からセクハラ通報があった場合に押さえておきたい点は、主に以下のとおりです。

  • 第三者通報も調査の端緒として扱う
  • 本人の意向確認と会社の対応義務を分けて考える

被害を受けたとされる本人の意向に配慮しながら、企業として職場環境を守るために必要な対応を進めることが大切です。

第三者通報も調査の端緒として扱う

第三者からセクハラ通報があった場合も、企業は職場環境に関する重要な情報として受け止めることが大切です。

被害を受けたとされる本人からの相談ではない場合でも、実際にセクハラが発生していたり、周囲の従業員が職場環境の悪化を感じていたりする可能性があります。そのため、「本人から相談がないから対応しない」と判断することは避けるべきです。

第三者通報を受けた際は、通報内容を整理したうえで、必要に応じて以下のような対応を検討します。

  • 通報者から状況を確認する
  • 被害を受けたとされる本人の意向を確認する
  • 関係者への事実確認を行う
  • 職場環境の悪化や再発リスクを確認する

ただし、本人の意向を確認しないまま調査範囲を広げると、二次被害につながるおそれもあります。通報内容の緊急性や被害の継続性を踏まえながら、慎重に対応を進めることが重要です。

本人の意向確認と会社の対応義務を分けて考える

第三者からセクハラ通報があった場合は、被害を受けたとされる本人の意向を確認しつつ、企業として必要な対応を検討することが重要です。

本人への意向確認を行う場合は、連絡方法や場所にも配慮し、確認する行為そのものが新たな負担や危険につながらないかを事前に検討します。通報があったことが周囲に知られたり、本人がまだ通報の事実を認識していなかったりするケースもあるためです。緊急性が高い場合や重大な被害が疑われる場合は、本人の意向だけで対応の要否を決めず、会社として必要な保護措置を検討します。

本人が「大ごとにしたくない」「正式な調査は望まない」と考えている場合、その意思を無視して調査を広げると、精神的な負担や二次被害につながるおそれがあります。一方で、本人が対応を望まない場合でも、会社が何もしなくてよいとは限りません。行為の重大性・緊急性・継続性、ほかに被害者が存在する可能性、証拠が失われるおそれ、職場全体への影響などを踏まえ、会社として調査や是正措置が必要かを判断します。その際も、本人のプライバシーと心理的な負担を可能な限り軽減する方法を検討します。

たとえば、

  • 本人が特定されない範囲で職場全体へ注意喚起を行う
  • 管理職にハラスメント防止の指導を行う
  • 相談窓口の利用を改めて周知する

などの対応が考えられます。ただし、職場全体への注意喚起や研修は有効な場合がある一方、重大性や継続性が認められる事案では、これらだけで対応を終えず、必要な事実確認や被害防止の措置、行為者への措置まで検討する必要があります。注意喚起は個別の調査の代替ではなく、事案に応じた補完的な措置と位置づけることが大切です。

セクハラ相談窓口を企業が整備するポイント

セクハラ相談窓口は、設置するだけでなく、従業員が安心して利用できる体制を整えることが重要です。窓口があっても、相談しづらい環境や対応への不安があると、問題が表面化せず対応が遅れる可能性があります。セクハラ相談窓口を整備する際に重要になるポイントは、以下のとおりです。

  • 相談しやすい外部窓口も選択肢に加える
  • 相談後の流れを従業員に周知する
  • 相談窓口担当者を教育し、利益相反に備える
  • 勤務時間外にも相談を受け付けられる手段を用意する

従業員が相談しやすく、企業側も適切に対応できる仕組みを整えることで、セクハラの早期発見や再発防止につなげやすくなります。各ポイントについて詳しく解説します。

相談しやすい外部窓口も選択肢に加える

セクハラ相談窓口では、社内窓口だけだと従業員が相談をためらうケースがあります。特に、行為者とされる者が上司や役員、人事担当者に近い立場にある場合、「社内では公平に扱われないのではないか」「自分の立場が悪くなるのではないか」という不安が生じやすくなります。

その結果、セクハラ被害が表面化しないまま深刻化するおそれがあります。社内窓口に相談しにくいケースに備え、弁護士や外部専門機関に受付を委託する外部窓口を併設することも、有効な選択肢の一つです。法令上求められているのは、あらかじめ相談窓口を定め、適切に対応できる体制を整えて従業員へ周知することであり、外部窓口の設置がすべての企業に一律に義務づけられているわけではありません。自社の規模や体制に応じて、相談先の選択肢を用意しておくことが望まれます。

窓口の社内・社外・併用といった設計パターンや、設置にかかる費用・運用ルールの詳細は、内部通報窓口の設置と運用。社内・社外・併用の3パターンと費用・運用ルールで解説しています。

相談後の流れを従業員に周知する

セクハラ相談窓口を設置する際は、相談後にどのような流れで対応が進むのかを従業員に周知することが重要です。

窓口があっても、従業員が「誰が内容を見るのか」「上司に知られるのではないか」「相談した後に不利益を受けないか」と不安を感じていれば、実際の利用にはつながりません。

従業員に伝えておきたい点は、主に以下のとおりです。

  • 相談を受け付けた後の対応フロー
  • 相談内容や個人情報を共有する範囲
  • 相談者・協力者への不利益取扱いを禁止していること
  • 調査を行う場合の進め方

周知方法としては、社内ポータル、研修、就業規則、入社時説明などが考えられます。相談前に対応の流れを把握できる状態にしておくことで、従業員が安心して相談しやすくなります。

相談窓口担当者を教育し、利益相反に備える

セクハラ相談窓口を適切に機能させるには、相談を受ける担当者への教育が欠かせません。相談窓口担当者や管理職が不適切な対応をすると、相談者をさらに傷つけたり、会社への不信感を強めたりするおそれがあります。また、社内で適切に対応されないと判断された場合、従業員が外部機関へ相談する事態につながる可能性もあります。

相談窓口担当者に教育しておきたい内容は、主に以下のとおりです。

  • 相談者への聞き取り方
  • 秘密保持のルールと共有範囲の考え方
  • 不利益取扱いの禁止
  • 二次被害を防ぐ対応
  • 記録の残し方
  • 関係部署へ共有する際の判断基準

あわせて、担当者自身やその上司・部下が事案の関係者である場合に備え、利益相反を避ける運用も定めておくことが重要です。具体的には、担当者が関係する事案では別の担当者へ引き継ぐ回避ルール、経営者や役員が関係する場合のエスカレーション先、通常の窓口を利用できない場合の代替窓口、調査担当者と最終判断者の役割分担などが挙げられます。特に小規模な企業では、通常の窓口が使えないケースに備えた代替の相談先を用意しておくことが求められます。

担当者によって対応に差が出ないよう、マニュアルや研修を整備し、一定の品質で相談を受け付けられる体制を構築することが重要です。

勤務時間外にも相談を受け付けられる手段を用意する

セクハラの相談は、必ずしも勤務時間内に発生するとは限りません。被害を受けた直後や帰宅後、休日などに「今すぐ相談したい」と感じるケースもあります。相談フォームや専用メールなど、勤務時間外にも相談を送信できる受付手段を設けておくことは、相談のしやすさを高めるうえで有効です。

ただし、24時間365日いつでも受け付けられることと、その場で担当者が即座に対応することは分けて考える必要があります。受付が常時可能であっても、担当者が内容を確認して対応を開始するまでには一定の時間がかかります。そのため、受付の仕組みとあわせて、担当者が対応を始めるまでの流れや、緊急時の連絡先を明確に示しておくことが大切です。

  • 専用フォームやメールで勤務時間外の受付に対応する
  • 外部窓口を併用する
  • 匿名での相談を受け付ける
  • 通報受付ツールを活用する

特に、担当者が少ない企業や複数拠点を抱える企業では、受付時間の制限や対応漏れが課題になりやすい傾向があります。セクハラ通報を早期に把握し、初動対応の遅れを防ぐためには、専用のツールを活用するなどして受付体制を補完する方法もあります。

なお、匿名での相談を受け付ける場合は、相談の心理的なハードルを下げられる一方、連絡手段が確保されていないと追加の確認ができず、事実確認や結果の通知が難しくなる場合があります。匿名性を保ったまま追加の質問や結果連絡ができる仕組みを用意しておくと、制度の実効性を高められます。

セクハラ通報対応に関するよくある質問

セクハラ通報への対応でよくある疑問について、実務上の考え方を整理します。

Q1. セクハラ通報に証拠がない場合も調査する必要がありますか?
証拠がないことだけを理由に、対応を見送るべきではありません。相談者の説明や関係者への聞き取りなど、確認できる情報をもとに事実関係を整理していきます。企業には事実関係を迅速かつ正確に確認することが求められるため、まずは相談内容を受け止め、必要な範囲で調査を進めることが基本です。

Q2. 匿名のセクハラ通報にも対応する必要がありますか?
匿名の通報であっても、職場環境に関わる重要な情報として受け止め、内容に応じて対応を検討します。ただし、匿名の場合は追加の確認が難しく、事実確認や結果の通知に限界が生じることもあります。匿名性を保ったまま連絡を取り合える仕組みがあると、対応を進めやすくなります。

Q3. 被害を申告した本人が調査を望まない場合はどうすればよいですか?
本人の意向は尊重すべきですが、会社の対応義務がなくなるわけではありません。行為の重大性・緊急性・継続性、ほかに被害者がいる可能性、証拠が失われるおそれ、職場全体への影響などを踏まえ、会社として調査や是正が必要かを判断します。その際も、本人のプライバシーと心理的な負担に配慮します。

Q4. 第三者からの通報だけでも事実確認を行いますか?
第三者からの通報も、調査の端緒として扱います。被害を受けたとされる本人からの相談でなくても、実際にセクハラが起きていたり、職場環境が悪化していたりする可能性があるためです。本人の意向や安全に配慮しながら、必要な範囲で事実確認を進めます。

Q5. 行為者とされる者に通報者の氏名を伝える必要がありますか?
通報者を特定できる情報は、必要以上に共有しないことが原則です。一方で、行為者とされる者にも、問題とされている事実を把握し、説明・反論する機会を与える必要があります。氏名などの開示は、プライバシー保護と調査の公正性を比較して、慎重に判断します。

Q6. 調査結果や対応内容は相談者にどこまで伝えられますか?
守秘義務や人事情報への配慮から、処分内容のすべてを開示できるとは限りません。ただし、調査が終了したこと、会社としての判断の概要、実施する配慮措置や再発防止策などは、配慮した範囲で相談者に説明することが望まれます。

Q7. 相談受付から調査完了までの期間はどの程度ですか?
事案の内容や関係者の人数によって異なるため、一律の期間はありません。ただし、対応が遅れると被害の拡大や証拠の散逸につながるため、事実関係を迅速かつ正確に確認することが求められます。見通しを相談者に共有しておくと、不安の軽減につながります。

セクハラ通報対応を支える「AI通報窓口」

セクハラ通報では、従業員が安心して相談できる環境を整えるだけでなく、受付後のヒアリングや記録管理まで適切に行うことが重要です。

しかし、担当者が限られている場合、通報受付や内容整理、対応状況の管理が大きな負担になるケースもあります。

NaLaLysのAI通報窓口は、AIチャットボットがセクハラをはじめとした通報の一次受付からヒアリングまでを支援するサービスです。24時間365日対応できるため、従業員が相談しやすい環境を整えながら、担当者の運用負担も軽減できます。

主な特徴は以下のとおりです。

  • AIが24時間365日、通報の一次受付に対応
  • 通報内容を5W1Hで整理・可視化
  • ダッシュボードで対応状況や記録を一元管理
  • 記名・匿名にかかわらず通報者との継続コミュニケーションが可能
  • 国内サーバー管理・入力データの学習利用なし

セクハラ通報では、相談者への追加確認や対応履歴の管理など、継続的な対応が必要になる場合があります。NaLaLysのAI通報窓口を活用すれば、通報内容や対応状況を一元管理できるため、対応漏れや担当者ごとのばらつき防止にもつながります。

セクハラ相談窓口の整備や、現在の通報対応における担当者負担・属人化に課題を感じている企業にとって、NaLaLysのAI通報窓口が解決の選択肢となります。
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