ハラスメント

公開:2026/08/19

ハラスメントの再発防止策8選。処分だけで終わらせない進め方と防止事例を紹介

ハラスメントの再発防止策8選。処分だけで終わらせない進め方と防止事例を紹介

「ハラスメントが発生したあと、どこまで再発防止策を講じればよいのか」「処分や研修だけで十分なのか」と悩む企業担当者も多いのではないでしょうか。ハラスメントの再発を防ぐには、行為者への対応だけでなく、相談体制や職場環境、組織の仕組みまで見直すことが重要です。

そこで本記事では、

  • ハラスメントの再発防止の基本的な考え方
  • 企業が実施すべき8つの再発防止策
  • 再発防止策を実施する5つのステップ
  • 社内周知・報告書に使える例文
  • ハラスメント別の再発防止策の事例

について詳しく解説します。ハラスメント発生後の対応を処分だけで終わらせず、実効性のある再発防止策を検討するうえで参考になる内容です。

ハラスメントの再発防止とは

ハラスメントの再発防止とは、発生した事案に対応するだけでなく、同じ問題が繰り返されないように原因を見直し、必要な対策を講じることです。行為者本人への指導や処分だけではなく、同様のハラスメントを生む可能性がある職場環境や組織の仕組みまで改善する必要があります。

また、再発防止と予防は密接に関係しています。研修や相談窓口の整備、職場環境の見直しなど、ハラスメントを未然に防ぐ取り組みを継続することが、すでに発生した問題の再発防止にもつながります。再発防止は一度の対応で終わるものではなく、継続的に効果を検証しながら改善していく取り組みです。

ハラスメントへの措置は義務(再発防止も含む)

ハラスメントが発生した場合、企業には事実関係を確認し、被害者への配慮や行為者への対応、再発防止に必要な措置を講じることが求められます。労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法などにより、事業主には職場におけるハラスメントを防止するための雇用管理上の措置義務が課されています。再発防止に向けた措置は、この措置義務を構成する要素の1つとして位置づけられています。

具体的には、事業主に求められる措置は主に以下の4点に整理されます。

  • 事業主の方針の明確化と周知・啓発
  • 相談体制の整備
  • 事実確認および被害者・行為者への適正な対処、再発防止に向けた措置
  • 当事者のプライバシー保護と不利益取扱いの禁止

現在、企業にはパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメント、育児・介護休業等に関するハラスメントへの防止措置が求められています。そのため、ハラスメントが発生してから個別に対応するだけではなく、再発を防げる体制を継続的に整備することが重要です。

また、事業主は労働契約法第5条に基づき、従業員が安全に働けるよう配慮する義務も負っています。ハラスメントを放置すると、被害者の心身に深刻な影響を及ぼすだけでなく、企業が必要な対応を怠ったとして損害賠償を求められる可能性もあります。

参考:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」

【2026年10月1日から対象が拡大】 2026年10月1日からは、改正労働施策総合推進法によりカスタマーハラスメントが、改正男女雇用機会均等法により求職者等に対するセクシュアルハラスメントが、それぞれ事業主による防止措置の対象に加わります。企業は既存のハラスメント対策に加え、新たな義務化を踏まえた体制の見直しも必要です。

再発防止策を怠ると企業に生じるリスク

ハラスメント発生後に十分な再発防止策を講じないと、被害者への影響が長引くだけでなく、組織全体の信頼や事業運営にも悪影響が及ぶ可能性があります。主なリスクは、以下のとおりです。

  • 離職: ハラスメントへの不安や会社への不信から、被害者だけでなく周囲の従業員が退職する可能性がある
  • 休職: 精神的な負担が続き、従業員が就業を継続できなくなる場合がある
  • 生産性低下: 職場の雰囲気が悪化し、従業員の意欲や業務効率が低下しやすくなる
  • 相談窓口への不信: 相談しても改善されないと感じると、従業員が問題を報告しなくなり、早期発見が難しくなる
  • 採用・企業ブランドへの悪影響: SNSや口コミなどを通じて評判が悪化し、採用や取引先との関係に影響する可能性がある
  • 損害賠償など: 対応が不十分な場合、損害賠償請求や法的トラブルにつながる可能性がある

特に注意したいのは、再発防止策を怠ることで「会社はハラスメントに適切に対応しない」という認識が社内外に広がり、複数のリスクが連鎖して波及することです。相談窓口への信頼が失われれば、問題が起きても声が上がりにくくなり、同様の事案を早期に把握できなくなります。再発防止策は個別事案への対応にとどまらず、従業員と社外からの信頼を維持するためにも重要です。

企業が実施すべきハラスメントの再発防止策8選

ハラスメントの再発を防ぐには、行為者への対応だけでなく、社内制度や職場環境まで含めて対策を見直すことが重要です。事実確認と当事者への対応を終えたうえで、企業が実施すべき主な再発防止策として、以下の8つが挙げられます。

  • 【行為者への対応】行為者へ個別の再発防止研修・面談を実施する
  • 【方針発信と教育】経営者や管理職から再発防止方針を発信する
  • 【方針発信と教育】管理職や全社員向けの研修内容を見直す
  • 【制度・ルール】相談窓口の独立性と利用しやすさを改善する
  • 【制度・ルール】就業規則・対応マニュアル・懲戒基準を改定する
  • 【職場環境】評価制度・業務量・職場のコミュニケーションを見直す
  • 【効果検証】匿名アンケート・内部監査・事例記録で効果を検証する
  • 【兆候把握】日常のやり取りから兆候を継続的に確認する体制を作る

一つの対策だけで終わらせず、問題が発生した原因や自社の状況に応じて複数の施策を組み合わせることが大切です。

行為者へ個別の再発防止研修・面談を実施する

ハラスメントの再発を防ぐためには、行為者に対して個別の研修や面談を実施し、自身の行動を振り返る機会を設けることが重要です。単にハラスメントの定義を教えるだけでなく、主に以下の点を確認します。

  • どのような言動が問題だったのか
  • 相手にどのような影響を与えたのか
  • 同じ状況でどのような指導・コミュニケーションを取るべきか
  • 再発した場合にどのような措置が取られるのか

研修を実施する際は、行為者本人の立場にも配慮しなければなりません。複数の対象者を集めた社内研修では参加者同士が顔を合わせるため、個別研修や社外セミナーを活用する方法もあります。社外研修を利用する場合は、受講後にレポートを提出してもらうなど、学んだ内容を振り返る機会まで設けるのも1つの方法です。ハラスメント対策全体の考え方や実践のポイントは、ハラスメント対策の4つの柱で解説しています。

経営者や管理職から再発防止方針を発信する

ハラスメントの再発防止では、経営者や管理職が会社としての姿勢を明確に示し、全従業員へ発信することが重要です。具体的には、次のような方針を明確にします。

  • ハラスメントを許さない
  • 相談者を不利益に扱わない
  • 再発防止策を継続して実施する

こうした方針を明確に発信することで、従業員が会社の判断基準を理解しやすくなり、ハラスメントを見過ごさない意識と相談しやすい環境づくりにつながります。

方針は、就業規則や社内報、社内ポータル、研修などを通じて継続的に周知します。また、実際に発生した事案を共有する場合は、個人が特定されないよう内容を一般化した事例として伝えることが重要です。

発信だけで終わらせず、研修や制度の見直しなど具体的な施策につなげることで、組織全体に再発防止の意識を浸透させやすくなります。

管理職や全社員向けの研修内容を見直す

ハラスメントの再発防止では、全社員に同じ内容を伝えるだけでなく、立場や役割に応じて研修内容を見直すことが重要です。例えば、以下のように分けると実務に落とし込みやすくなります。

  • 全社員向け: 具体的なハラスメント事例、判断が難しいグレーゾーン、相談方法、傍観者が取るべき行動
  • 管理職向け: 適切な指導方法、傾聴、アサーション、アンガーマネジメント、問題への早期介入

研修は一度実施して終わりにせず、可能な限り対象者全員が受講できるよう定期的に行うことが大切です。中途入社者には入社時に説明の機会を設けるなど、受講漏れを防ぐ工夫も必要です。

また、研修には会社としての方針や社内ルール、実際に起こり得る事例なども盛り込み、日常業務で適切に判断・行動できる内容にすることで、再発防止の実効性を高めやすくなります。

相談窓口の独立性と利用しやすさを改善する

ハラスメントの再発防止には、従業員が安心して利用できる相談窓口を整えることが求められます。窓口を設置するだけでなく、相談しやすさや対応の適切さまで含めて見直す必要があります。

法令上必要とされているのは、窓口をあらかじめ定めて労働者に周知し、適切に対応できる体制を整えることです。そのうえで、以下のような対応は一律の義務ではなく、利用しやすさを高める実務上の選択肢として整備が望まれます。

  • 相談窓口の担当者を選任し、必要な研修を行う
  • 相談対応の手順をマニュアル化する
  • 社内外に複数の相談窓口を設ける
  • 匿名で相談できる仕組みを用意する
  • 相談者の秘密を守り、不利益な取り扱いを防ぐ
  • 窓口の利用方法や対応の流れを定期的に周知する

社内窓口には人事・労務部門やコンプライアンス部門、産業医など、社外窓口には弁護士や社会保険労務士、外部の相談代行サービスなどを活用できます。複数の選択肢を用意することで、従業員が自分に合った窓口へ相談しやすくなります。

また、窓口の独立性を高めるためには、相談の受付と調査の担当を分けたり、行為者の指揮命令下にある部門を窓口担当にしないようにしたりすることも有効です。相談件数が少ないからといって、問題がないとは限りません。窓口への不信や相談しにくい雰囲気が原因で声が上がっていない可能性もあるため、利用状況を確認しながら継続的に改善することが大切です。

ハラスメントが発生した際に内部通報を受けた企業がどのような対応を行うべきかは、パワハラの通報を受けた企業の対応で解説しています。

就業規則・対応マニュアル・懲戒基準を改定する

ハラスメントの再発防止では、禁止行為や対応手順を曖昧にせず、就業規則や対応マニュアル、懲戒基準として明文化することが重要です。具体的には、以下の内容を整理します。

  • ハラスメントに該当する禁止行為
  • 相談受付から調査までの流れ
  • 被害者への配慮や支援
  • 行為者への指導・懲戒などの措置
  • 当事者や関係者のプライバシー保護
  • 相談・調査内容の記録と管理
  • 再発防止策の実施方法

ルールは従業員が理解しやすいよう、できるだけ具体的に定めることが大切です。行為者への処分についても、どのような場合に懲戒の対象となるのかを明確にしておけば、対応のばらつきを抑えやすくなります。

また、就業規則などを変更した場合は、その内容を従業員へ周知する必要があります。就業規則の作成・変更にあたっては、労働組合(ない場合は労働者の過半数代表者)からの意見聴取が労働基準法上義務付けられています。そのため、実際の職場で運用できるルールになるよう、意見交換を行ったうえで見直していくことが重要です。

評価制度・業務量・職場のコミュニケーションを見直す

ハラスメントの再発防止のためには、行為者への対応だけでなく、ハラスメントが起こりやすい職場環境そのものを見直すことも重要です。例えば、以下のような状況がないかを確認します。

  • 成果を過度に重視する評価制度になっていないか
  • 長時間労働や過重な業務が常態化していないか
  • 特定の上司や管理職に権限が集中していないか
  • 部署内のコミュニケーションが不足していないか
  • 周囲が問題を指摘しにくい閉鎖的な雰囲気になっていないか

こうした職場環境を放置すると、個別の事案に対応しても、別の従業員や部署で同様の問題が発生する可能性があります。評価制度や業務分担の見直し、上司と部下が定期的に意見を交わせる機会の整備など、ハラスメントを生みにくい職場づくりを進めることが大切です。

匿名アンケート・内部監査・事例記録で効果を検証する

ハラスメントの再発防止策は、実施して終わりではなく、実際に効果が出ているかを継続的に検証することが重要です。匿名アンケートや内部監査、過去事例の記録などを活用し、職場環境や従業員の認識に変化があるかを確認します。

匿名アンケートは目的を明確にし、幅広い雇用形態を対象に、個人を特定できない方法で継続実施します。対象者が一部に偏ると実態を把握しにくくなるため、正社員だけでなく、パート・アルバイトなども含めて実施することが大切です。また、相談窓口を設置している場合は、アンケートとあわせて窓口の利用方法も周知します。

アンケートだけでなく、産業医などによるヒアリングや個人面談、内部監査など複数の方法を組み合わせることも、把握できる情報の幅を広げるうえで有効です。

日常のやり取りから兆候を継続的に確認する体制を作る

ハラスメントの再発を防ぐには、問題が起きたときだけ確認するのではなく、日常的にリスクの兆候を把握できる体制を整えることも有効です。定期的な面談やアンケートだけでは、確認の間に起きた問題を見逃す可能性があります。

そのため、従業員同士のコミュニケーションや業務上のやり取りの中から、不自然な言動やトラブルにつながる兆候を継続的に確認できる仕組みを整えておく必要があります。特に、確認対象が多い企業では、人の目だけですべてを把握するのは容易ではありません。整備にあたっては、以下のような事項を検討します。

  • 確認の対象範囲をどこまでとするか
  • リスクの高いやり取りをどのような基準で判定するか
  • 確認した記録をどのように保管・管理するか
  • 運用ルールを社内規程としてどう整備するか

継続的にチェックできる体制を構築することで、ハラスメントにつながる兆候を早期に把握し、問題が深刻化する前の対応につなげやすくなります。なお、こうした体制を整える際は、従業員への周知・同意を一律に必須と考えるのではなく、目的の正当性・範囲の合理性・社内規程の整備という3点を軸に検討することが求められます。

社内コミュニケーションデータをAIで分析し、リスクの高いやり取りを抽出できる仕組みを取り入れる方法もあります。日常的な兆候把握の体制づくりについては、NaLaLysへのお問い合わせで相談できます。

ハラスメント再発防止策を実施する5ステップ

ハラスメントの再発防止を進めるには、事案への対応だけで終わらせず、発生原因を分析したうえで必要な施策を実施し、その効果を継続的に確認することが重要です。具体的には、以下の5つのステップで進めます。

  1. 事実確認と当事者への対応を完了させる
  2. 発生原因を個人・部署・組織の3層で分析する
  3. 対象者ごとに実施する施策を決める
  4. 担当者・期限・評価指標を入れた計画を作る
  5. 実施後も定期的にモニタリングして見直す

1.事実確認と当事者への対応を完了させる

ハラスメントの再発防止策を検討する前に、まずは事実関係を正確に把握し、当事者への必要な対応を完了させることが重要です。主に以下の方法で確認します。

  • 相談者へのヒアリング
  • 必要に応じた関係者・行為者へのヒアリング
  • 録音データやメールなどの記録確認
  • 主張が食い違う場合の追加調査

ヒアリングでは、その場で指導や判断を行わず、事実確認に徹することが大切です。必要な情報を整理したうえで、被害者への配慮や行為者への措置など、状況に応じた対応につなげます。ハラスメントの調査をどのように進め、どのような点に注意すべきかは、ハラスメント調査の進め方(6ステップ)で解説しています。

2.発生原因を個人・部署・組織の3層で分析する

事実確認と当事者への対応が完了したら、次はハラスメントが生じた原因を分析します。ハラスメントの再発防止では、原因を行為者個人の性格や意識だけに求めず、部署や組織の構造まで含めて分析することが重要です。主な確認ポイントは、以下のとおりです。

分析する層主な確認ポイント
個人ハラスメントへの認識不足、感情のコントロール、指導・コミュニケーションスキル
部署過度な目標、長時間労働、閉鎖的な人間関係、上司への権限集中
組織評価制度、相談窓口の形骸化、経営方針、社内規程や研修の不足

それぞれの層を確認する際は、次のような手立てが有効です。個人層はヒアリング記録と過去の指導履歴を突き合わせ、部署層は業務量や労働時間のデータを確認し、組織層は相談件数の推移や規程の改定履歴を確認します。個人・部署・組織の3つの視点から原因を整理することで、行為者への指導だけでなく、職場環境や制度の見直しまで含めた再発防止策を検討しやすくなります。

3.対象者ごとに実施する施策を決める

原因を3層で整理できたら、次はその結果をもとに、誰に対して何を変える施策なのかを具体化します。ハラスメントの再発防止では、行為者・管理職・部署・組織など、対象者ごとに必要な施策を分けて決めることがポイントです。そのうえで、緊急度と再発リスクを踏まえて優先順位を付けます。

例えば、対象ごとに次のように整理します。

  • 行為者:指導方法やコミュニケーションの見直し
  • 管理職:マネジメント研修や早期介入の強化
  • 部署:業務量や人間関係の改善
  • 組織:評価制度や相談体制の見直し

対象を分けるときに見落とされやすいのは、行為者の言動を黙認していた上司や周囲の管理職への対応です。被害の拡大につながる可能性が高い問題や、再発リスクが高い原因から優先して対応することで、実効性のある再発防止策につなげやすくなります。

4.担当者・期限・評価指標を入れた計画を作る

対象者ごとの施策が決まったら、次はそれを実行に移すための計画に落とし込みます。再発防止策を確実に実行するためには、担当者・期限・評価指標まで具体化した計画を作ることが重要です。「研修を実施する」といった曖昧な内容では、誰がいつまでに対応するのか、施策に効果があったのかを判断しにくくなります。

例えば、「管理職研修を○月までに実施し、研修後の理解度テストと3か月後のアンケートで効果を確認する。理解度テストは正答率○%以上を合格基準とする」といった形で具体化します。評価指標は、研修を「実施したかどうか」ではなく、「職場の状態が変わったかどうか」で置くことがポイントです。

このように、「誰が・いつまでに・何を行い・どのように効果を確認するのか」を明確にしておくことで、施策の実施漏れを防ぎ、必要に応じた見直しもしやすくなります。

5.実施後も定期的にモニタリングして見直す

計画に沿って施策を実施したら、最後にその効果を定期的に確認し、必要に応じて見直します。再発防止策は、実施して終わりにせず、定期的に効果を確認しながら見直す必要があります。研修や制度を導入しても、時間の経過とともに形骸化したり、新たな問題が生じたりする可能性はゼロではありません。

そのため、匿名アンケートや相談件数、内部監査の結果などを確認し、職場環境や従業員の意識に変化があるかを継続的に把握します。確認の周期や担当者、見直しを始める条件をあらかじめ決めておくと、運用が定着しやすくなります。十分な効果が見られない場合は、研修内容や相談体制、業務の進め方などを見直し、再発防止策を改善していくことが大切です。

社内周知・報告書に使える再発防止策の例文

ハラスメントの再発防止策を実施した後は、その内容を社内外へ適切に伝えることも重要です。ここでは、用途に応じて使いやすい例文として、以下の2つを紹介します。

  • 社内周知文の例文
  • 社内・社外向け報告書の例文

実際の事案や自社の対応内容に合わせて調整して使う形が適しています。

社内周知文の例文

社内周知では、ハラスメント事案が発生した事実と再発防止に向けた対応を伝えつつ、当事者が特定される情報を含めないことが重要です。部署名や役職、具体的な日時なども、特定につながる場合は記載を避けます。

以下は、企業が自社名義で社内に周知する場合の文例です。実際に使用する際は、自社の名称や実際の対応内容に置き換えます。

社内において、従業員間のコミュニケーションに関する問題が確認されました。当社では事実関係を確認したうえで、関係者への対応を実施しています。
今回の事案を踏まえ、再発防止のため、ハラスメントに関する研修内容の見直し、相談窓口の周知強化、職場環境の点検を進めます。
当社では、ハラスメントを許容せず、すべての従業員が安心して働ける職場環境の整備に継続して取り組みます。気になる言動や困りごとがある場合は、社内の相談窓口をご利用ください。

社内周知は、事案の詳細を知らせることよりも、「会社が問題を把握し、どのような再発防止策を講じるのか」を明確に伝えることを意識するとよいでしょう。

社内・社外向け報告書の例文

ハラスメントに関する報告書では、事案の概要や対応内容、再発防止策を整理して記載します。社外へ公表する可能性がある場合は、当事者のプライバシーに配慮することが重要です。

以下は、社内・社外向け報告書として使う場合の文例です。実際に使用する際は、調査結果や実施した措置に合わせて内容を変更します。

当社において、従業員に対するハラスメント行為が確認されました。当社では、事案を把握した後、関係者へのヒアリングおよび必要な調査を実施し、事実関係を確認しました。
調査結果を踏まえ、関係者に対して必要な措置を講じるとともに、発生原因について検証を行いました。
今後は、同様の事案を防止するため、管理職および従業員へのハラスメント研修の見直し、相談窓口の周知徹底、社内規程や業務体制の点検などを実施します。また、各施策の実施状況を定期的に確認し、必要に応じて改善を行います。
当社は今回の事案を重く受け止め、再発防止策を継続するとともに、すべての従業員が安心して働ける職場環境の整備に努めてまいります。

特に社外向けの報告では、説明責任を果たしながらも、当事者や関係者の特定につながる情報を記載しないよう配慮が必要です。

ハラスメントの種類別に見る再発防止策の事例

ハラスメントの再発防止策は、発生した問題の種類や原因によって見直すべきポイントが異なります。実際の事例を見ることで、企業がどのような課題を把握し、どのような対策につなげたのかを具体的にイメージしやすくなります。

ここでは、以下の3つのハラスメントに関する再発防止策の事例を紹介します。

  • パワハラの再発防止策事例
  • セクハラの再発防止策事例
  • カスハラの再発防止策事例

パワハラの再発防止策事例

  • 事例の概要: 長時間の活動や過重な負担、行き過ぎた指導・叱責などが重なり、現場で活動する人に大きな心理的負荷が生じた事例
  • 主な再発防止策: 活動量・スケジュールの見直し、活動時間管理の強化、相談・健康支援体制の整備、匿名アンケート、内部監査の強化

この事例では、個々の指導や叱責だけでなく、過密なスケジュールや長時間の活動、現場任せの運営など、組織全体の問題が背景にありました。そこで、負担の軽減や時間管理の強化に加え、関係者の声を把握する仕組みや健康支援体制の整備など、職場環境そのものを見直す対策が取られています。

さらに、外部相談窓口や匿名アンケート、内部監査を導入することで、問題を早期に把握しやすい体制も整えられました。行為者への対応だけで終わらせず、ハラスメントを生みやすい活動環境や組織運営まで改善した点が、この事例の再発防止策の特徴です。

セクハラの再発防止策事例

  • 事例の概要: 業務上の関係性を背景に重大な人権侵害が発生し、会社側の調査や被害者救済にも問題があった事例
  • 主な再発防止策: 人権・コンプライアンス体制の強化、外部相談窓口の新設、メンタル支援、処分・リスク管理体制や組織構造の見直し

この事例では、個人の言動だけでなく、業務上の立場の差や断りにくい関係性、相談・救済体制の弱さなど、組織全体の人権意識やガバナンスにも課題がありました。そのため、再発防止策も相談窓口の見直しにとどまらず、人権リスクを継続的に監督する体制や外部専門家を活用した仕組みの整備まで広げられています。

また、特定の部門や個人に権限が集中しないよう組織体制を見直し、女性や若手を含む多様な人材を登用する取り組みも進められました。セクハラの再発防止では、被害者を守る仕組みとあわせて、問題を生みやすい権力関係や組織風土そのものを改善することが重要だとわかる事例です。

カスハラの再発防止策事例

  • 事例の概要: ネームプレートの氏名をもとに従業員がSNSで検索され、つきまとい被害が発生した事例
  • 主な再発防止策: ネームプレートのイニシャル表記、本社の相談窓口への一元的な報告体制の整備、トラブル記録の徹底、トラブル発生時の警察への速やかな連絡

この事例では、従業員の氏名が顧客に知られることが被害につながったため、個人情報を必要以上に外部へ出さない仕組みへ見直しています。具体的には、ネームプレートをイニシャル表記に変更することで、業務上必要な情報は残しつつ、従業員を特定されにくくしています。

また、店舗だけで問題を抱え込まないよう、本社の相談窓口へ速やかに報告できる体制も整備しました。トラブル発生時の状況を記録し、必要に応じて警察とも連携できるようにすることで、同様の被害を防ぐ仕組みを構築しています。

ハラスメントの再発防止に関するよくある質問

Q. 行為者に懲戒処分を行えば、再発防止措置を講じたことになりますか。
懲戒処分は行為者への対応の一つですが、それだけで再発防止措置を果たしたことにはなりません。法令上の措置義務には、事実確認や被害者への配慮に加え、同様の問題を防ぐための体制整備まで含まれます。処分とあわせて、研修内容の見直しや相談体制の強化、職場環境の点検など、組織的な対策を講じることが求められます。

Q. 相談件数が増えたのは、再発防止策が機能していないということですか。
必ずしもそうとは限りません。相談窓口の周知や利用しやすさの改善が進むと、これまで声を上げられなかった従業員が相談しやすくなり、一時的に相談件数が増えることがあります。件数の増減だけでなく、相談内容や対応後の職場の変化もあわせて確認することが大切です。

Q. 行為者が管理職の場合、再発防止のために配置転換が必要になりますか。
配置転換が一律に必要になるわけではありません。行為者と被害者が引き続き同じ環境で業務を行うことが適切かどうか、事案の内容や職場の状況を踏まえて個別に判断することが求められます。配置転換以外にも、指導方法の見直しや権限の分散など、状況に応じた対応が考えられます。

Q. 再発防止策はどのくらいの期間続ける必要がありますか。
あらかじめ一律の期間が定められているわけではありません。研修や相談体制の整備は継続的な取り組みとして位置づけ、匿名アンケートや内部監査などによる効果検証の結果を踏まえながら、必要な期間継続することが望まれます。効果が十分に確認できるまでは、施策を終了せず見直しを続けることが重要です。

Q. AIによる分析結果だけを根拠に懲戒処分を行うことはできますか。
AIの分析結果は、リスクの高いやり取りを見つける手がかりにはなりますが、それだけで懲戒処分の根拠とすることは適切ではありません。抽出された内容をもとに関係者へのヒアリングや事実確認を行い、処分の是非を判断する必要があります。誤検知の可能性もあるため、最終的な判断は人が行う前提で運用することが重要です。

まとめ

ハラスメントの再発防止を進めるには、法令上の措置義務を踏まえたうえで、行為者への指導や研修だけでなく、相談体制や職場環境の見直し、原因分析まで一連の取り組みとして進めることが重要です。あわせて、例文や事例を参考にした社内外への伝え方まで押さえておくと、対応の実効性を高めやすくなります。特に、表面化していない問題を早い段階で捉えるには、日常的なコミュニケーションを確認できる仕組みが役立ちます。まずは事実確認と当事者への対応を終え、そのうえで個人・部署・組織の3層から原因を分析することが、再発防止の出発点になります。

NaLaLysは、メールやチャットなどの社内コミュニケーションデータをAIで分析し、ハラスメントにつながる可能性のあるリスクの高いやり取りを自動で抽出できるモニタリングツールです。

主な特徴は以下のとおりです。

  • AIがリスクの高いやり取りを自動で抽出
  • リスクの度合いをスコア化し、優先度の高いものから確認可能
  • 専門家の知見に基づいたキーワードや独自ロジックを活用
  • 自社に合わせたキーワード設定や過去事案の学習にも対応

このツールを活用すれば、確認対象をリスクの高いやり取りに絞り込み、担当者の負担を抑えながら継続的なモニタリングを行えます。ハラスメントにつながる兆候を早期に把握できれば、問題が深刻化する前の対応や再発防止策の見直しにもつなげやすくなります。ハラスメント対策を一度きりで終わらせず、継続的に機能する仕組みとして定着させたい企業には、NaLaLysの導入が選択肢になります。

以下の資料では、NaLaLysの導入による効果や活用方法を詳しく紹介しています。具体的な活用イメージを知りたい方は、資料ダウンロードからご確認いただけます。

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