2026/04/24
解説
ハラスメント調査の進め方を6ステップで解説。調査におけるポイントと注意点も解説
「最近さまざまなハラスメントが話題になっていて気になる」「ハラスメントが社内で発生したらどうすればいいのかわからない」と考える方は多いのではないでしょうか。
ハラスメントはどの企業でも起こり得るものであり、発生した場合はハラスメント調査を通して事実関係を整理しなければなりません。そこでこの記事では、
- ハラスメントの概要と近年の相談件数
- ハラスメント調査を行う際のステップ
- ハラスメント調査のポイントや注意点
などについて詳しく解説しています。万が一の事態に備えるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
そもそもハラスメントとは?
ハラスメントとは同僚や部下などに対する言動によって、不快感や不利益を与える行為のことを言います。ハラスメントにはさまざまな種類があり、企業においてはどのハラスメントが発生してもおかしくありません。具体的なハラスメントには以下のようなものがあります。
- パワハラ(パワーハラスメント)
- セクハラ(セクシュアルハラスメント)
- ケアハラ(ケアハラスメント)
- マタハラ(マタニティハラスメント)
- パタハラ(パタニティハラスメント)
- カスハラ(カスタマーハラスメント)
など
例えば、パワハラは職場での優位な立場を背景に精神的・身体的な苦痛を与える行為、セクハラは相手の意に反する性的な言動によって尊厳を傷つける行為を指します。その他にも、介護や妊娠・育児に関連するハラスメントなど、状況に応じてさまざまな種類が存在します。
これらはいずれも、相手の尊厳や働く環境を損なう行為であり、職場の人間関係や制度の利用場面など、さまざまな場面で発生する可能性があります。
ハラスメントは一部の特殊な問題ではなく、どの企業でも起こり得る身近なリスクです。まずは種類ごとの特徴を理解することが、適切な対策や予防につながります。
関連記事:ハラスメント概論-ついこんな言動していませんか? | NaLaLys
ハラスメントの相談件数
厚生労働省が公表した令和5年度の職場のハラスメントに関する実態調査報告書によると、職場におけるハラスメントの相談件数は、全体として横ばい、もしくはやや減少傾向にあります。

出典:厚生労働省
過去3年間の推移を見ると、パワハラや妊娠・出産・育児関連、介護関連のハラスメントでは「件数は変わらない」と回答した割合が最も高く、大きな改善は見られていません。一方で、セクハラについては「減少している」とする割合が最も高く、他のハラスメントとは異なる傾向が見られます。
ただし、顧客などからの迷惑行為(いわゆるカスハラ)については、「増加している」と回答した割合が「減少している」を上回っているなどハラスメントの種類によって状況はさまざまです。
このように、ハラスメントの発生状況は一様ではなく、種類ごとに異なる動きを見せています。特に近年は、従来の社内でのハラスメントに加え、顧客対応におけるハラスメントへの対応も重要性を増しています。そのため、単に件数の増減だけで判断するのではなく、自社の環境や業務内容に照らしてリスクを捉えることが重要です。
ハラスメントを防ぐには、問題が起きてから対応するのではなく、日頃から発生しにくい職場環境を整えることが重要です。具体的な対策については、以下の記事で詳しく解説しています。
参照記事:ハラスメント対策で重要となる4つの柱。具体的な実践対策まで解説
ハラスメント調査を実施するべき2つの理由
職場におけるハラスメントは、未然に防げるのがベストですが、それでも発生してしまう可能性があります。ハラスメントが起こった時は、ハラスメント調査を行うことが大切です。ここでは、なぜ企業がハラスメント調査を行うべきなのか、その理由について解説します。ここで取り上げるのは以下の2点です。
- ハラスメントの事案に係る調査は義務付けられている
- 人手不足・離職防止を防ぐため
ハラスメントが発生した時にスムーズに調査を行えるようにするためにも、まずは調査を実施するべき理由を理解しておきましょう。
ハラスメントの事案に係る調査は義務付けられている
ハラスメントに関する事案が発生した場合、企業には事実関係を確認するための調査を行う義務があります。従業員から相談や申告があった際には、速やかかつ適切に状況を把握することが求められており、こうした対応の重要性は厚生労働省の指針においても示されています。単に相談を受け付けるだけでなく、その内容を正確に把握し、事実に基づいた判断を行うことが重要です。
万が一、ハラスメントの訴えを把握しながら十分な調査を行わなかった場合、行政指導の対象となるだけでなく、職場環境への配慮義務違反や使用者責任などを理由に、企業が法的責任を問われる可能性もあります。また、調査を実施していたとしても、その進め方や対応が不適切であれば、結果として損害賠償が認められるケースもあるため注意が必要です。調査の有無だけでなく、その適切性まで問われる点は押さえておくべきポイントといえるでしょう。
実務としては、社内で調査体制を整えたうえで、関係者へのヒアリングなどを通じて事実関係を整理し、その内容をもとに対応方針や再発防止策を検討していく流れが一般的です。あらかじめ対応フローを整備しておくことで、事案発生時にも迅速かつ適切な対応が可能になります。
人手不足・離職を防ぐため
職場でハラスメントが発生しているにもかかわらず、適切な調査や対応が行われない状態が続くと、被害を受けた本人だけでなく、周囲の社員にも不信感が広がります。「この会社では安心して働けない」という認識が社内に浸透することで、従業員のエンゲージメントは低下し、結果として離職につながるリスクが高まります。
また、ハラスメントの問題は一部の個人にとどまるものではなく、職場全体の雰囲気や人間関係にも影響を及ぼします。相談しても改善されないという状況が続けば、社員同士の信頼関係が損なわれ、意見が出にくい、協力しづらいといった状態を招く可能性があります。こうした環境では、本来のパフォーマンスを発揮することが難しくなり、組織全体の生産性低下にもつながります。
近年は人手不足が深刻化しており、離職が発生した場合の影響はこれまで以上に大きくなっています。新たな人材の採用や育成には時間とコストがかかるだけでなく、既存の従業員への負担増加を招くケースも少なくありません。結果として、さらなる離職を引き起こす悪循環に陥るリスクも考えられます。
そのため、ハラスメントの有無や実態を正確に把握し、早期に対応することは、従業員の安心・安全を守るだけでなく、組織の安定的な運営や持続的な成長を支えるうえでも重要な取り組みといえるでしょう。
ハラスメント調査の進め方6ステップ
ハラスメント調査を行うべき理由を把握したうえで、実際にどのように調査を進めるのかについても理解しておく必要があります。ここでは、ハラスメント調査の進め方の具体的なステップを紹介します。ここで取り上げるのは以下の6つのステップです。
- 調査チームの編成
- 被害者へのヒアリングを実施
- 加害者へのヒアリングを実施
- 目撃者・第三者からのヒアリングを実施する
- ハラスメントの認定
- ハラスメント調査報告書の作成
ハラスメントはどの企業でも起こり得るものであるため、万が一の事態に備えるためにも、ハラスメント調査の進め方を理解しておきましょう。
1.調査チームの編成
ハラスメントの相談が寄せられた場合は、速やかに調査チームを立ち上げる必要があります。調査の公平性や客観性を確保するためには、当該ハラスメントに直接関係のある人や被害者・加害者の上司を含めることは避けることが重要です。
一般的には、社内の人事担当者に加え、必要に応じて弁護士や社会保険労務士などの外部専門家を含めた体制で進めるケースが多く見られます。
調査チームは、被害者や加害者、関係者へのヒアリング、情報収集作業などを通じて事実関係を整理したうえで、ハラスメントがあったのかどうかを判断します。また、今後の配置や業務内容といった人事上の対応、さらに懲戒処分の要否についても判断する役割を担う点が特徴です。
そのため、調査チームを構築する際には、人事部門だけでなく、法務部門や内部監査部門の担当者を含めるなど、複数の視点から検討できる体制とすることが望ましいといえるでしょう。
2.被害者へのヒアリングを実施
ハラスメントに関する相談があった場合には、できるだけ早い段階で被害者へのヒアリングを実施することが重要です。この際、事実関係の正確な把握を優先し、加害者への聞き取りを同時に行うことは避ける必要があります。
被害者はハラスメントを受けた当事者であり、精神的・身体的に大きな負担を抱えているケースも少なくありません。また、相談したことによって不利益を受けるのではないかといった不安を感じていることも多く、慎重な対応が求められます。
ヒアリングでは、以下のような5W1Hを意識しながら事実関係を具体的に確認していきます。
| 項目 | 内容 | 確認例 |
|---|---|---|
| Who(誰が) | 関係者の特定 | 誰が・誰に対して行為をしたのか |
| When(いつ) | 発生日時 | いつ発生したのか(日時・期間) |
| Where(どこで) | 発生場所 | どこで行為が行われたのか |
| What(何を) | 行為の内容 | どのような言動・行為があったのか |
| Why(なぜ) | 背景・経緯 | どのような経緯で発生したのか |
| How(どのように) | 行為の手段・状況 | どのような状況・方法で行われたのか |
また、本人が話しやすい状況をつくるために、複数名での対応や同性の担当者を同席させるなどの配慮を行うことも有効です。ヒアリングの際は、被害者の話を遮らず、最後まで丁寧に聞く姿勢が求められます。「被害者側にも問題があったのではないか」といった発言は二次被害につながる可能性があるため、特に注意が必要です。
聞き取った内容は記録としてまとめ、内容に誤りがないかを本人に確認したうえで、署名を得るなどの手続きを行い、後の調査や判断に活用できる形にしておきます。
3.加害者へのヒアリングを実施
被害者へのヒアリングを踏まえ、加害者への聞き取りを行う際には、げんそくとs被害者の同意を得たうえで実施する必要があります。被害者の了承がない状態で調査を進めることは、さらなる不安や不信感、トラブルを招くおそれがあるため、慎重な対応が求められます。

出典:総務省消防庁
被害者の許可が得られた場合は、加害者に対して事実関係を確認します。このとき重要なのは、被害者の証言だけを前提に判断せず、中立的な立場で双方の主張を整理することです。認識の違いや、意図せず問題が生じているケースもあるため、先入観を持たずに確認を進める必要があります。
一方で、被害者が加害者へのヒアリングを望まない場合は、調査の進め方自体を慎重に検討しなければなりません。無理に進めることで、被害者への負担や社内の混乱を招く可能性があるためです。
加害者へのヒアリングでは、行為の有無だけでなく、経緯や意図、被害者との関係性も確認します。本人にハラスメントの自覚がないまま行為に至っている場合もあるため、頭ごなしに否定せず、まずは事実を整理する姿勢が重要です。
具体的には、以下のような内容を確認します。
- 当該行為が実際にあったか
- 行為に至った経緯や意図
- 被害者との関係性(事案発生前後を含む)
ヒアリング内容は、主観的な評価を加えず、そのまま記録として残します。内容に疑問がある場合でも、その場で否定するのではなく、本人の発言として整理し、確認を取ることが大切です。
4.目撃者・第三者からのヒアリングを実施する
被害者および加害者へのヒアリングに加えて、目撃者や関係者といった第三者からのヒアリングも重要なプロセスです。ハラスメント事案では、当事者同士の認識に食い違いが生じることも多く、双方の主張だけでは事実関係の判断が難しいケースも少なくありません。そのため、公平かつ客観的に状況を把握するためには、第三者の視点からの情報収集が不可欠です。
第三者へのヒアリングを行う際は、当事者の不安や二次被害を避ける観点から、原則として被害者(相談者)および加害者の双方に事前に説明し、可能な限り了解を得たうえで実施します。調査の進め方に対する透明性を確保し、当事者の不安や不信感を招かないよう配慮することが求められます。
ヒアリングでは、当事者のどちらの主張が正しいかを判断することを目的とするのではなく、第三者の立場から見てどのような行為や出来事があったのかという事実を確認することが重要です。主観的な評価ではなく、具体的な行動や発言の内容に焦点を当てて聞き取りを行う必要があります。
また、同一人物による類似のハラスメントが他にも発生していないかを確認することも、有効な手段の一つです。もし複数の従業員が同様の被害を訴えている場合には、被害者の主張の信頼性を裏付ける材料となり、事実認定の判断に役立ちます。
さらに、状況によっては、部署全体を対象に匿名で回答できるアンケートを実施し、潜在的なハラスメントの有無を把握する方法も有効です。匿名性を確保することで、表面化していない問題や声を拾いやすくなり、より実態に近い情報を得ることができます。
なお、第三者から得られた内容についても、記録として文書化し、発言内容に誤りがないかを本人に確認したうえで、署名を得るなどの手続きを行うことが望ましいといえます。
5.ハラスメントの認定
これまでのヒアリング結果や収集した情報をもとに、ハラスメントに該当するかどうかを判断します。判断にあたっては、当事者の主張だけでなく、客観的な証拠や第三者の証言なども踏まえながら、総合的に検討することが重要です。
特に、当事者間で主張が食い違っている場合には、どちらの言い分がより信頼できるかを慎重に見極める必要があります。その際には、主張の具体性や一貫性、他の証拠との整合性などが重要な判断材料となります。また、虚偽の主張を行う動機があるかどうかといった点も、判断の参考となる場合があります。具体的には、以下のような観点から検討を行います。
- 主張の内容が具体的で、一貫性が保たれているか
- メールやチャット履歴などの客観的な記録と矛盾していないか
- 当初の発言から不自然な変更が生じていないか
- 同様の被害を訴える他の従業員がいないか
など
また、被害の申告時期や、当事者間の関係性といった背景事情も、判断に影響を与える要素となり得ます。こうした点を踏まえながらも、先入観にとらわれず、あくまで事実関係に基づいて判断を行う姿勢が求められます。判断が難しい場合や法的な観点での検討が必要な場合には、弁護士などの専門家に相談することも有効です。
最終的にハラスメントの有無を認定した後は、その結果に基づいて、被害者および加害者に対する人事上の対応や、必要に応じた懲戒処分の検討を行います。また、調査結果と対応方針については、双方に対して適切に説明を行うことが重要です。
6.ハラスメント調査報告書の作成
一連の調査が完了した後は、その結果を整理し、調査報告書としてまとめます。調査報告書とは、ヒアリングや証拠の確認などを通じて明らかになった事実関係や判断内容を記録した文書のことです。
以下に、調査報告書の基本的な構成例を紹介します。自社の規程や運用に合わせて項目を調整しながら活用することで、実務に即した報告書を作成することが可能です。

⇨調査報告書のダウンロードはこちら
報告書は、単なる記録にとどまらず、企業内での意思決定や今後の対応を検討するうえで重要な役割を果たします。例えば、取締役会や社内の意思決定機関への報告資料として活用されるほか、懲戒処分の妥当性が争われた際には証拠として用いられることもあります。また、同様の事案の再発を防ぐための検討材料としても重要です。
調査結果は必ずしも外部に開示することを前提としたものではありませんが、社内での判断根拠を明確にするという観点からも、文書として整理しておくことが望ましいといえます。調査報告書には、一般的に以下のような内容を記載します。
- 調査を担当したチームの構成および独立性
- 調査を実施した期間や具体的な調査方法
- 被害申告に至った経緯とその内容
- 加害者側の主張および説明内容
- 調査によって明らかになった事実関係
- ハラスメントの有無に関する判断および結論
- 再発防止に向けた改善点や提言
このように、調査報告書は単なる結果の整理ではなく、企業としての判断や今後の対応方針を示す重要な資料となります。適切に作成することで、組織としての透明性や説明責任を果たすことにもつながります。
ハラスメント調査におけるポイント
ここでは、実際にハラスメント調査を行うにあたって押さえておきたいポイントを紹介します。ハラスメントの事実関係を把握し、適切な対応を取るためにも調査は欠かせないものですが、ただ調査を行えばいいというわけではありません。
ポイントを押さえたうえで実施しないと、後々のトラブルにつながりかねないため注意が必要です。ここでは以下のポイントについて解説しています。
- 迅速かつ隠密に調査をする
- 被害者に対する安全配慮を最優先で行う
- プライバシーの保護・守秘義務への徹底
調査のステップと合わせてポイントも押さえておきましょう。
迅速かつ隠密に調査をする
ハラスメント調査を行う際には、迅速さと慎重さの両立が求められます。調査の実施が加害者に早い段階で知られてしまうと、関係者間での口裏合わせや証拠の隠蔽といったリスクが生じる可能性があるためです。また、状況によっては、被害者に対するハラスメントがさらにエスカレートするおそれもあるため、調査の進め方には十分な配慮が必要です。
一方で、慎重さを優先するあまり対応が遅れてしまうと、問題が長期化し、被害の拡大や職場環境の悪化につながる可能性もあります。そのため、必要な情報を適切に管理しながら、できる限り速やかに調査を進めることが重要です。
こうした迅速かつ適切な対応を実現するためには、あらかじめ調査の進め方を整理したマニュアルや、ヒアリング時に使用するフォーマットなどを準備しておくことが有効です。事前に体制や手順を整備しておくことで、事案発生時にも混乱することなく対応でき、結果として調査の質とスピードの両方を高めることにつながります。
被害者に対する安全配慮を最優先で行う
ハラスメント調査を進めるうえでは、何よりも被害者の安全確保を最優先に対応する必要があります。調査結果が出るまでには一定の時間を要するため、その間も被害者が安心して働ける環境を維持することが重要です。具体的には以下のような方法が挙げられます。
- 執務場所の変更
- 配置転換
- 定期的な面談の実施
- 産業医によるフォロー
- 加害者への自宅待機指示
など
これらの対応は、被害者と加害者の接触機会を減らし、被害者が安心して業務を継続できる環境を確保することを目的としています。特に、同一の執務スペースで業務を行っている場合には、物理的な距離を確保することで精神的な負担の軽減につながります。
また、ハラスメントによる影響は目に見えにくい場合もあるため、定期的な面談や産業医によるフォローを通じて、継続的に被害者の状態を把握していくことも重要です。状況に応じて柔軟に対応を見直すことで、より適切な支援につながります。
このように、調査と並行して被害者の安全と安心を確保することは、企業としての重要な責務の一つです。適切な配慮を行うことで、被害の拡大を防ぐとともに、安心して働ける職場環境の維持につながります。
プライバシーの保護・守秘義務への徹底
ハラスメント調査では、被害者および加害者の個人情報や発言内容など、センシティブな情報を取り扱うことになります。そのため、プライバシーの保護と守秘義務の徹底は、調査の適正性を担保するうえで欠かせない要素です。
まず、調査に関与する当事者や関係者に対しては、調査内容を外部に漏らさないよう十分に説明し、必要に応じて守秘義務に関する誓約を求めることが重要です。また、ヒアリングは第三者に見聞きされない場所で実施するなど、情報が不用意に広がらない環境を整える必要があります。
さらに、調査に関わる情報は、関係者以外には必要以上に共有しないことが原則です。特に、目撃者や第三者へのヒアリングを行う際には、ハラスメントの詳細を伝えすぎないよう配慮し、プライバシーの侵害につながらないよう注意が求められます。
万が一、情報が漏えいした場合には、被害者の立場がさらに不利になるおそれがあるだけでなく、職場内の信頼関係の低下や二次被害につながる可能性もあります。そのため、情報管理の体制を整備し、調査に関わるすべての関係者が適切に取り扱うことが重要です。
このように、プライバシーの保護と守秘義務を徹底することは、調査の信頼性を高めるだけでなく、被害者を守るための重要な取り組みといえます。適切な管理体制を構築し、慎重に調査を進めることが求められます。
ハラスメント調査における注意点
ここでは、ハラスメント調査を実施するにあたっての注意点を紹介します。調査の適正性を担保しつつ、被害者・加害者のプライバシーを守り、そのうえでハラスメントの有無を適切に判断するためにはさまざまな点に注意しなければなりません。ここで取り上げるのは以下の注意点です。
- 証拠・記録を正確に残す
- 調査後の対応・再発防止まで設計する
どういった点に注意しなければならないのかぜひチェックしてみてください。
証拠・記録を正確に残す
ハラスメント調査においては、ヒアリングで得られた情報だけでなく、客観的な証拠や記録を正確に残しておくことが重要です。調査結果に基づく判断やその後の対応について説明責任を果たすためには、裏付けとなる資料が欠かせません。
特に、当事者や関係者からの供述は主観的な要素を含む場合もあるため、それだけで結論を出すのではなく、客観的な証拠と照らし合わせながら事実関係を整理する必要があります。
具体的には、以下のような資料が証拠として活用されることがあります。
- 当事者間のメールやチャットの履歴
- 録音・録画データ
- 写真や現場の記録
- 診断書などの医療記録
- SNSへの投稿内容
- 日記やメモなどの記録
これらに加え、社内のメールサーバーに保存されたデータや、防犯カメラの映像などについては、調査担当者の権限に応じて収集できる場合もあります。
このように、証拠や記録を体系的に整理しておくことで、調査の正確性を高めるとともに、後からの検証や説明にも対応しやすくなります。
また、ヒアリングを実施する際には、後から内容を確認できるよう記録を残しておくことが望ましいといえます。例えば、事前に本人の同意を得たうえで録音を行うことで、発言内容の食い違いや認識のズレを防ぐことが可能です。ヒアリング内容を議事録として整理し、当事者に確認・署名を得ることで、より信頼性の高い記録として残すことができます。
調査後の対応・再発防止まで設計する
ハラスメント調査は、事実関係を明らかにするだけではなく、その結果を踏まえて適切な対応や再発防止策につなげることが重要です。調査の段階で得られた情報をもとに、処分の検討や職場環境の見直しを行い、同様の問題が再び発生しない仕組みを整える必要があります。
ハラスメントは表面化してから対応するだけでは不十分であり、未然に防ぐための取り組みが求められます。そのためには、日常的なコミュニケーションや業務上のやり取りの中に潜むリスクを把握し、早い段階で兆候を捉えることが重要です。
近年では、こうしたリスクを早期に検知し、問題の深刻化を防ぐための仕組みを導入する企業も増えています。調査後の対応だけでなく、予防の観点からどのような対策が取れるのかを検討することが、より実効性の高いハラスメント対策につながります。
ハラスメントの再発防止・早期検知は「NaLalys」
ハラスメント対策においては、調査や処分といった事後対応だけでなく、日常的なコミュニケーションの中からリスクを把握し、問題が顕在化する前に対処することが重要です。しかし、従業員同士のやり取りをすべて把握することは難しく、気づいたときにはすでに問題が深刻化していることも少なくありません。そのため、組織内のやり取りを可視化し、ハラスメントの兆候を早期に検知できる仕組みの導入が求められています。

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- AIがメールやチャットなどのコミュニケーションデータを分析し、リスクの高いやり取りを自動抽出
- リスクの度合いをスコア化し、優先度の高いものから確認可能
- 専門家の知見をもとにしたキーワードを活用
- 自社の運用に応じたキーワード設定や過去事案の学習にも対応
これらの機能により、担当者がすべてのやり取りを確認する必要がなくなり、効率的にリスクの兆候を把握することが可能になります。また、抽出された情報をもとに優先度の高いものから対応できるため、限られた人員でも継続的なモニタリング体制を構築しやすくなります。

さらに、日常的なコミュニケーションの中に潜む違和感や不適切な言動を早期に検知できるため、ハラスメントが表面化する前の段階で対策を講じることができます。万が一問題が発生した場合でも、蓄積されたデータをもとに事実関係を整理できるため、調査の裏付け資料として活用できる点も大きな特徴といえるでしょう。
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