2026/04/20
解説
内部監査DXを実現する4つのステップ。成功の鍵は効率化ではなく監査の高度化
「内部監査の効率が上がらない」「DXが必要だとは感じているが、何から始めればよいかわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
近年は、リスクの複雑化や人材不足の影響もあり、従来の手法だけでは十分な監査が難しくなっています。そのため、データやデジタル技術を活用した内部監査DXの重要性が高まっています。
そこでこの記事では、
- 内部監査にDXが求められる背景
- 内部監査DXでできること
- 活用される主な技術や具体的な進め方
- 内部監査DXを進める際の課題
などについて詳しく解説します。内部監査の質を高めたい方や、DXの具体的な進め方を知りたい企業の担当者は、ぜひ参考にしてください。
NaLaLysはメールやチャットなどの社内コミュニケーションデータをAIで分析し、リスクの兆候を可視化できるツールです。内部監査DXにおいて重要となる「リスクの早期把握」や「継続的なモニタリング」を支援するため、効率的に監査のDX化を進めたい方は、導入を検討してみてください。
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目次
内部監査DXとは
内部監査DXとは、内部監査の各業務にデジタル技術やデータを取り入れることで、作業の効率化に加えて、監査の精度や実効性、さらには経営への価値提供を高めていく取り組みです。
なお、DX(デジタルトランスフォーメーション)は、単にITツールを導入することを指すものではありません。総務省ではDXを以下のように定義しています。
企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること
出典:総務省
このようなDXの取り組みは、新たなビジネス機会の創出や収益構造の多様化、市場や顧客ニーズへの迅速な対応を可能にすると同時に、業務全体の生産性向上にもつながります。
内部監査の領域においても、こうした変化は例外ではありません。リスク評価から監査計画の立案、個別監査の設計、事前準備、現場での監査実施、結果の報告、その後のフォローに至るまで、あらゆる工程でデジタル技術の活用余地があります。
内部監査の役割
内部監査の役割は、企業活動の中で生じるリスクや不正の可能性、業務上の課題を客観的に把握し、組織の健全な運営と継続的な成長を支えることにあります。
重要なのは、単に問題点を指摘することにとどまらない点です。内部監査は、発見された課題に対して具体的な改善策を提示し、業務の見直しやリスクの抑制につなげる役割も担っています。
内部監査は、企業の監査役や社内担当者で構成される組織によって実施されます。これらの担当者が監査を行うことで、不正の防止やリスクの低減に加え、業務の効率化や経営目標の達成に向けた取り組みを支えます。
内部監査にDXが必要な3つの理由
内部監査においてDXが求められる背景にはさまざまな理由があります。ここでは、3つの具体的な理由を紹介します。内部監査にDXを取り入れたいものの、周囲がなかなか納得してくれないといった企業の担当者はぜひ参考にしてみてください。ここで取り上げるのは以下の通りです。
- 監査対象のリスクが複雑化しているため
- 人材不足の中でも監査品質を維持する必要があるため
- リアルタイムかつ継続的なモニタリングが求められているため
これらの背景を押さえることで、自社における内部監査DXの必要性を具体的に説明しやすくなります。
監査対象のリスクが複雑化しているため
近年、企業を取り巻く環境は、ビジネスのグローバル化や技術革新などの影響を受け、大きく変化し続けています。これに伴い、リスクの内容も従来に比べて多様化・複雑化しました。具体的には、
- ITシステム
- データ管理
- サイバーセキュリティ
といった専門性の高い領域まで監査対象が広がっており、従来の方法だけでは十分に対応することが難しくなっています。
こうした変化の中で、経営者のリスクに対する意識は急速に高まり、それに伴い内部監査に対する期待も大きくなっています。一方で、これまで日本企業では内部監査への関心やサポートが十分でなかったケースも多く、現在はそのギャップが顕在化しつつある状況です。
その結果、内部監査部門には、従来以上に質・量・スピードのすべての面でパフォーマンス向上が求められています。こうした要求に対応するためには、広範なデータからリスクの兆候を捉えるためのデータ分析やリスクセンシングの活用が不可欠です。
人材不足の中でも監査品質を維持する必要があるため
内部監査にDXが必要な理由は、人手不足への懸念もあります。帝国データバンクの調査によると、2026年1月時点で正社員の不足を感じている企業は52.3%にのぼっており、多くの企業で人材不足が課題となっています。

出典:帝国データバンク
こうした状況は内部監査部門においても例外ではありません。内部監査はもともと少人数で運営されるケースが多く、限られた人員で監査業務を担う必要があります。さらに、退職や異動によって担当者が定着しにくいという課題もあり、継続的な体制維持が難しい状況も見られます。
その結果、監査の範囲を限定するなどの対応を取らざるを得ない企業も存在し、本来実施すべき監査が十分に行えないリスクも生じています。
このような状況の中で、限られた人員でも監査の質を維持・向上させるためには、デジタル技術やデータ活用を前提とした業務の見直しが不可欠なのです。
リアルタイムかつ継続的なモニタリングが求められているため
従来の内部監査は、年に1回などの定期的な実施が中心であり、過去の業務を事後的に確認する形が一般的でした。
しかし、ビジネス環境の変化が加速する現在においては、問題が発生してから対応するだけでは十分とはいえません。リスクや不正の兆候をいち早く把握し、早期に対処することが求められています。
そのため、特定のタイミングでの監査だけでなく、日常的にデータを把握し続ける「継続的なモニタリング」の重要性が高まっています。こうした対応を実現するには、人手による確認だけでは限界があり、データを活用した仕組みの導入が不可欠です。
このような背景から、リアルタイムでのリスク把握や継続的な監査を実現する手段として、内部監査DXの必要性が高まっています。
NaLaLysは、メールやチャットをAIで分析し、不正リスクや問題の兆候を可視化できるモニタリングツールです。リスクの高いやり取りのみを抽出することで、効率的かつ継続的なモニタリングを実現します。
内部監査のDX化やリアルタイムなリスク把握を支援します。監査範囲の拡大や限られた人員での対応にも有効です。まずはお気軽にお問い合わせください。
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内部監査DXでできること
内部監査DXによってできることはさまざまです。監査の効率が高まるだけでなく、経営に役立つ情報を提示できるケースもあるなど、DX化によって企業にさまざまなメリットをもたらしてくれます。ここでは具体的にどういったことができるようになるのか解説します。ここで取り上げるのは以下の内容です。
- リスクの予兆を早くつかめる
- 監査対象の全体像を可視化できる
- 監査準備や証憑整理を効率化できる
- 経営に役立つ示唆を出しやすくなる
内部監査DXを実際に自社で実施するにあたってのイメージを掴むためにも、ぜひ参考にしてみてください。
リスクの予兆を早くつかめる
内部監査DXでは、さまざまなデータを横断的に分析することで、異常の兆しを早期に捉えることが可能です。
例えば、以下のようなデータを組み合わせて分析できます。
- 取引データや会計データ
- 社内システムのアクセスログや操作履歴
- 申請・承認プロセスの状況
- コミュニケーションデータやインシデント履歴
従来の内部監査は、不備やルール違反が発生した後に発見・指摘することが中心でした。しかし現在では、問題が顕在化する前の段階である「予兆」をいかに捉えるかが重要視されています。
逸脱や重大な過失は、一度発生すると組織全体のモチベーションや生産性の低下につながる可能性があります。そのため、早い段階でリスクを把握し、対応につなげることが求められます。
内部監査DXを活用すれば、こうした予兆をもとに具体的な対応策を検討できるようになり、結果としてリスクの未然防止や早期対応につながります。
監査対象の全体像を可視化できる
内部監査DXでは、分散しているデータを統合・分析することで、監査対象となる業務やリスクの全体像を把握できるようになります。
従来は、個別のデータや限られた情報をもとに監査を行うケースも多く、全体の流れや関連性を把握することが難しい場面もありました。しかし、データを横断的に整理し可視化することで、業務の流れや特徴を俯瞰的に捉えることが可能になります。
また、可視化された情報をもとにすることで、それまで見えにくかったリスクの兆候にも気づきやすくなります。結果として、問題の発見だけでなく、より適切な監査対象の選定や優先順位付けにもつなげることができます。
監査準備や証憑整理を効率化できる
内部監査では、証憑の収集や整理、事前準備に多くの時間がかかる傾向があります。特に、以下のように形式が異なる情報を扱う場合、手作業による負担が大きくなりがちです。
- 紙資料
- PDFファイル
- メールなどの電子データ
また、必要な情報が複数の場所に分散している場合、証憑の抜け漏れや確認作業の重複が発生しやすく、準備に時間を要する要因となります。
内部監査DXでは、こうしたデータをデジタル上で一元的に管理することで、検索や確認を効率的に行えるようになります。その結果、監査準備にかかる工数を削減し、より重要な分析や判断に時間を充てることが可能になります。
経営に役立つ示唆を出しやすくなる
内部監査DXでは、データ分析の精度が高まることで、単なる不備の指摘にとどまらず、経営に役立つ示唆を提供しやすくなります。
従来の内部監査は、個別の事象や不備への対応が中心でしたが、データをもとに業務全体の傾向やリスクの発生パターンを把握できるようになることで、より本質的な課題に踏み込んだ分析が可能になります。
例えば、以下のような示唆を得ることができます。
- 特定の業務プロセスにおけるリスクの偏り
- 不正やミスが発生しやすいパターンの把握
- 業務フローの非効率やボトルネックの特定
- 再発防止に向けた改善ポイントの明確化
このように、内部監査DXは監査結果を単なる報告で終わらせるのではなく、経営に活かせる情報として活用することを後押しします。
内部監査DXで活用される主な技術
内部監査DXを進めるうえでは、さまざまなデジタル技術の活用が前提となります。ここでは、内部監査DXの実現において特に活用される代表的な技術について解説します。具体的に取り上げる技術は以下のとおりです。
- リスクセンシング
- AI・OCR
- プロセスマイニング・タスクマイニング
- テキストマイニング
- GRCツール・監査システム
- RPA
どのような技術があり、自社ではどれを活用できそうか、チェックしてみてください。
リスクセンシング
リスクセンシングとは、社内外に存在するさまざまなデータを収集・分析し、リスクの兆候を早期に検知する仕組みを指します。内部監査におけるリスク評価プロセスの中でも、リスク情報の収集や評価を担う重要な役割を果たします。

具体的には、SNS上のキーワードをモニタリングしてリスクやその予兆を即時に把握したり、インターネット上の膨大なデータをもとに分析を行い、短期的なリスクだけでなく中長期的に発生し得るリスクの傾向を捉えるといった活用が可能です。
結果として、内部監査においてもリスクの優先順位付けや監査対象の選定をより適切に行えるようになり、限られたリソースの中でも効率的かつ実効性の高い監査につながります。
AI・OCR
AIやOCRは、内部監査におけるデータ処理や分析を効率化するために活用される技術です。特に、事前準備における情報収集や整理の場面で効果を発揮します。
主な活用イメージは以下の通りです。
- 紙資料や手書き情報をデジタルデータとして取り込み(OCR)
- 契約書や帳票から必要な情報を自動抽出
- 大量データから傾向やパターンを分析(AI)
- 人手では見つけにくい異常や例外の検知
これにより、手作業に依存していた情報整理やデータ分析の負担を軽減し、効率的に監査を進めることが可能になります。
プロセスマイニング・タスクマイニング
プロセスマイニングとタスクマイニングは、業務の実態をデータから把握し、プロセスや作業の流れを可視化するための技術です。業務全体の流れを捉えるか、個人レベルの作業を捉えるかという違いがあります。

プロセスマイニングは、システムログをもとに業務プロセス全体の流れを可視化し、処理件数や所要時間、差し戻しといった情報から、滞留や逸脱が発生している箇所を把握できます。
一方、タスクマイニングは、パソコン上の操作ログをもとに、個人レベルの作業内容を可視化する技術です。どのアプリケーションを使い、どの作業にどれくらい時間がかかっているかを把握できます。
従来の内部監査では、規程やヒアリングをもとに業務を理解することが一般的でしたが、これらの手法では時間がかかるうえ、例外的なフローを把握しきれない場合もありました。
これらの技術を活用することで、実際の業務プロセスや作業内容をデータに基づいて把握できるようになり、逸脱プロセスや非効率な業務の特定につながります。
テキストマイニング
テキストマイニングとは、文章データを分析し、その中に含まれる意味や傾向を抽出する技術です。SNSやアンケート、インシデント報告などのテキストを対象に分析が行われます。
主な分析内容は以下の通りです。
- 単語の出現頻度や傾向の把握
- 単語同士の関連性や組み合わせの分析
- 文脈や発言内容の傾向分析
- ポジティブ/ネガティブといった感情の分類
内部監査においては、苦情データや社員アンケート、インシデント報告などを分析することで、問題の傾向や背景を把握することが可能になります。
例えば、頻出する単語やその組み合わせから課題の要因を整理し、ヒアリングで検証すべきポイントを明確にすることができます。
このように、テキストマイニングを活用することで、定性的な情報を整理・分析しやすくなり、課題把握や原因分析の精度向上につながります。
GRCツール・監査システム
GRCツールや監査システムは、ガバナンス・リスク・コンプライアンスに関する情報を一元管理し、監査業務を効率的に進めるための基盤となるツールです。
それぞれの役割は以下の通りです。
| GRCツール | ・リスク管理やコンプライアンス情報を一元管理 ・他部門(リスク・法務など)との情報共有 ・リスク評価の精度向上や業務の重複防止 |
| 監査システム | ・監査計画〜実施〜報告までのプロセスを管理 ・ワークフローや証跡、レポートの一元管理 ・監査業務の標準化と効率化を支援 |
近年ではWebベースのツールが主流となり、スマートフォンやタブレットを活用した証跡記録やデータ化にも対応しています。
これにより、情報の分散を防ぎながら監査業務を体系的に管理でき、内部監査の効率化と運用の一貫性向上につながります。
RPA
RPA(Robotic Process Automation)は、パソコン上で行う定型業務を自動化する技術です。マウス操作やキーボード入力といった手順を記録し、それを自動で実行することで、日常的な業務を効率化できます。
内部監査では、以下のような業務に活用できます。
- 証憑データの収集や整理
- 複数システムからのデータ取得
- 定型的なチェックや突合処理
- レポート作成の補助
これにより、手作業による負担を軽減し、人的ミスの削減や業務の標準化につながります。結果として、限られた人員でも安定した監査業務を実施しやすくなります。
内部監査DXでは、こうした効率化に加え、リスクセンシングやテキストマイニングなどの技術を活用して、問題が顕在化する前の段階で兆候を把握することが重要です。NaLaLysは、メールやチャット、音声データをAIで分析し、不正リスクや問題の兆候を可視化することで、こうした早期把握を支援します。
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内部監査DXを進める4つのステップ
内部監査DXを推進するためには、単にツールを導入するだけではなく、段階的に取り組みを進めていくことが重要です。自社の現状や課題を踏まえながら、適切な手順で進めることで、より効果的にDXを実現することができます。ここでは、内部監査DXを進めるうえで押さえておきたい4つのステップについて解説します。具体的なステップは以下の通りです。
- 効率化だけでなく監査高度化まで定義する
- 監査プロセスごとの課題を洗い出す
- 小さく始めやすいテーマから着手する
- データ基盤・運用ルール・権限管理を構築する
実際に内部監査DXの推進を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。
1.効率化だけでなく監査高度化まで定義する
内部監査DXを進める際に最初に行うべきなのは、「何のためにDXを行うのか」を明確にすることです。
DXというと業務の効率化に目が向きがちですが、単に作業時間を削減するだけでは十分とはいえません。内部監査においては、リスクの把握や分析の精度を高めることや、より有効性の高い監査を実現することも重要な目的となります。
そのため、DXの目的を定義する際には、「どの業務を効率化するか」だけでなく、「どのように監査の質を高めたいのか」といった観点まで含めて整理することが求められます。例えば、
- リスクの兆候を早期に把握したいのか
- 監査対象の選定精度を高めたいのか
といった具体的なゴールを設定することで、取り組むべき内容が明確になります。
また、目的が曖昧なままツール導入を進めてしまうと、十分に活用されず形骸化してしまう可能性もあります。あらかじめ目指す状態を整理しておくことで、DXの取り組み全体に一貫性を持たせることができます。
2.監査プロセスごとの課題を洗い出す
現在の内部監査業務をプロセス単位で分解し、それぞれの工程における課題を具体的に把握することが重要です。
内部監査は、
- リスク評価
- 監査計画の策定
- 事前準備
- 現場での監査
- 報告
- フォローアップ
といった複数の工程で構成されています。それぞれのプロセスで発生している業務を整理することで、どの部分に時間や工数がかかっているのか、どの工程に非効率や課題があるのかを明確にすることができます。
例えば、証憑の収集や整理に時間がかかっているのか、監査対象の選定が属人的になっているのか、あるいは報告作成に手間がかかっているのかといった観点で課題を洗い出していきます。このように具体的な業務レベルまで分解することで、改善すべきポイントが見えやすくなります。
3.小さく始めやすいテーマから着手する
内部監査DXを進める際は、まず効果が出やすく、導入ハードルの低い領域からスモールスタートすることが重要です。
最初から全ての監査プロセスを一度に変革しようとすると、コストや工数が大きくなり、現場への負担も増えてしまいます。その結果、運用が定着せず、期待した効果が得られないケースも少なくありません。
そのため、まずは、
- 証憑の整理
- データ収集
- 定型的なチェック業務
など、比較的取り組みやすい領域から着手し、段階的に適用範囲を広げていくことが現実的です。こうした領域は効果が見えやすく、DXの成果を社内で共有しやすいというメリットもあります。
また、小さく始めることで初期投資を抑えつつ、実際の運用を通じて課題や改善点を把握できるため、無駄なコストの発生を防ぐことにもつながります。
このように、スモールスタートで実績を積みながら段階的に展開していくことが、内部監査DXを無理なく定着させるためのポイントとなります。
4.データ基盤・運用ルール・権限管理を構築する
内部監査DXを継続的に機能させるためには、ツールの導入だけでなく、データを適切に扱うための基盤や運用ルールを整備することが不可欠です。
データを活用した監査は、情報の正確性や管理体制に大きく依存します。そのため、データの取り扱いに関するルールや環境が整っていない場合、分析結果の信頼性が低下したり、情報漏えいといったリスクにつながる可能性があります。結果として、DXの効果が十分に発揮されない要因にもなり得ます。
こうしたリスクを防ぎ、安定的に運用していくためには、あらかじめデータ管理の仕組みを整えておくことが重要です。具体的には、以下のような点を整理しておく必要があります。
- 複数のシステムに分散しているデータを統合する基盤の整備
- データの更新頻度や管理方法に関するルールの明確化
- アクセス権限や閲覧範囲の設定
- 個人情報や機密情報の取り扱いに関するルールの整備
- 監査ログや操作履歴の記録・管理
これらを整備することで、データの信頼性とセキュリティを確保しながら、内部監査DXを安定的に運用することが可能になります。
内部監査DXの事例
内部監査DXはさまざまな企業で取り組みが進んでいますが、具体的にどのように活用されているのかイメージしづらい部分があるのも事実です。ここでは、内部監査DXの具体的な活用イメージを理解するために、代表的な事例を紹介します。取り上げる事例は以下の2つです。
- 東レ株式会社|経営に貢献する監査部門へ変革
- 中外製薬|価値創造を担う監査へ進化
自社でどのようにして内部監査DXを取り入れることができるか、ぜひ参考にしてみてください。
東レ株式会社|経営に貢献する監査部門へ変革

引用:東レ株式会社HP
| 背景 | 不適切な発注事案の発覚を契機に、 従来の監査手法では異常取引の検知が難しいという課題が顕在化 |
| 具体的な取り組み | ・経費データを対象としたモニタリングツールの導入 ・支払先別累計額や取引頻度などの条件で異常取引を抽出 ・抽出された取引データをもとに現業部門へ確認・検証を実施 |
東レでは、2015年に特定の事業本部において不適切な発注事案が発覚したことをきっかけに、内部監査のあり方の見直しが進められました。従来は、経費支出に関して事前承認や証憑確認といった統制は行われていたものの、取引のパターンや頻度といった観点での異常検知までは十分に対応できていませんでした。
また、監査部門においても、全件データを対象とした分析によって異常値を把握する仕組みは整っておらず、サンプリングによる確認が中心となっていました。そのため、大量のデータの中から問題のある取引を特定することは、時間や工数の面で大きな負担となっていました。
こうした課題に対応するため、経費データの分析プロセスを自動化するモニタリングツールを導入し、取引の傾向や異常値を継続的に把握できる体制を構築しました。例えば、支払先ごとの累計額や取引頻度、新規取引先との取引といった条件でデータを抽出し、検出された取引について詳細を確認する運用が行われています。
出典:protiviti
中外製薬|価値創造を担う監査へ進化

引用:中外製薬株式会社HP
| 背景 | 経営に役立つ監査を実現するため、監査の役割やアプローチを見直し |
| 具体的な取り組み | ・経営層の関心が高いテーマに対する「テーマ監査」の実施 ・AIやデータ分析、生成AIなどを活用した監査手法のDX化 |
中外製薬では、従来のように過去の出来事を評価するだけでなく、経営にとって重要なテーマに踏み込む「テーマ監査」を実施しています。経営層が関心を持つAI活用やサイバーセキュリティといった分野を対象とし、監査結果を業務改善や意思決定に活かすことを重視しています。
また、同社はDXを積極的に推進していることから、ITやデジタル領域に関する監査も多く行われています。こうした分野に対応する中で、監査部門自身も新しい技術や知識を取り入れながら、スキルの向上を図っています。
さらに、監査対象を評価するだけでなく、監査業務そのもののDXにも取り組んでいます。例えば、生成AIの活用可能性を検討したり、データ分析のためにプログラミングを取り入れるなど、業務の進め方自体を見直す動きが見られます。
具体的には、経費データのモニタリングにおいてAIを活用し、不正の兆候を効率的に把握するための取り組みが進められています。人手では対応が難しいデータ量に対しても、デジタル技術を活用することで対応の幅を広げています。
出典:中外製薬
内部監査DXを進める際の課題
内部監査DXは多くのメリットが期待される一方で、実際に導入・運用を進める中ではさまざまな課題も存在します。ここでは、内部監査DXを進める際に直面しやすい代表的な課題について解説します。取り上げる課題は以下の通りです。
- 監査対象データが分散している
- 監査部門にデジタル人材が少ない
- ツールを入れても監査観点が変わらなければ成果が出にくい
事前にこうしたポイントを把握しておくことで、導入後のトラブルや想定外の負担を防ぐことにつながるため、ぜひチェックしてみてください。
監査対象データが分散している
内部監査で扱うデータは、会計システムや販売管理システム、勤怠システム、ワークフロー、メール、チャットなど、さまざまな場所に分散しているケースが一般的です。そのため、必要な情報を収集するだけでも手間や時間がかかり、監査業務の負担が大きくなりがちです。
また、データが分散している状態では、全体像を把握しづらく、複数の情報を横断して分析することも難しくなります。結果として、リスクの見落としや分析の精度低下につながる可能性もあります。
こうした課題に対応するためには、まず**「どこにどのデータが存在しているのか」を整理する**ことが重要です。その上で、必要なデータを集約・連携できる基盤を整備することで、効率的なデータ活用と分析が可能になります。
監査部門にデジタル人材が少ない
内部監査DXを進めるうえでの課題として挙げられるのが、監査部門におけるデジタル人材の不足です。経済産業省のIT人材に関する需給予測では、今後もIT人材の不足が拡大していくことが示されており、企業全体としてデジタル人材の確保が難しくなることが見込まれています。

出典:経済産業省
こうした背景から、データ分析やツール活用を前提とした監査に対応できる人材が不足し、DXの取り組みが進みにくくなる恐れがあります。新しい技術を導入しても十分に活用されず、期待した効果が得られないといった状況に陥る可能性もあるでしょう。
そのため、既存の人材に対するデジタルスキルの底上げや、外部人材の活用などを通じて、組織としてデータ活用を進められる体制を整備していくことが重要です。
ツールを入れても監査観点が変わらなければ成果が出にくい
内部監査DXでは、ツールやデータ分析基盤の導入そのものが目的化してしまうケースも少なくありません。しかし、単にデジタルツールを導入するだけでは、期待するような成果につながらない点には注意が必要です。
内部監査DXの本来の価値は、監査をより早く・広く・深く行えるようにし、経営にとって意味のある示唆を提供できる点にあります。そのためには、従来のような不備の指摘を中心とした監査から一歩進み、リスクの予兆把握や改善提案、さらには意思決定を支援する視点へと監査の観点自体を広げていくことが重要です。
例えば、データ分析によって異常値を検出できたとしても、それを単なる指摘にとどめるのではなく、「なぜその兆候が発生しているのか」「どのような対策が有効か」といった示唆につなげていく必要があります。こうした視点がなければ、ツールの活用範囲も限定的なものになってしまいます。
そのため、DXを推進する際には、ツール導入と並行して監査の目的や評価軸を見直し、組織としてどのような価値を提供するのかを再定義することが求められます。
内部監査DXを実現する「NaLaLys」
内部監査DXを推進するうえでは、データの収集・分析・可視化を通じてリスクの兆候を捉え、監査の質を高めていくことが重要です。しかし、実際にはデータの分散や人材不足、監査観点の転換といった課題により、思うようにDXが進まないケースも少なくありません。
こうした課題に対応し、内部監査DXを現場レベルで実現していくための手段として注目されているのが「NaLaLys」です。

NaLaLysは、メールやチャットといった社内コミュニケーションデータを分析し、リスクの兆候を可視化できるモニタリングツールです。内部監査DXにおいて重要となる「リスクの早期把握」や「継続的なモニタリング」を支援します。
NaLaLysでは、AIが大量のコミュニケーションデータを自動で分析し、不正リスクやトラブルにつながる可能性のあるやり取りを抽出します。これにより、担当者がすべてのデータを確認する必要がなくなり、限られたリソースでも効率的にリスクの兆候を把握することが可能になります。
主な特徴は以下の通りです。
- AIによるメール・チャットデータの自動分析とリスク抽出
- リスクの度合いをスコア化し、優先順位付けが可能
- 専門家の知見に基づくキーワードと、自社に合わせた柔軟な設定
- 過去データの学習による継続的な精度向上

これらの機能により、従来のような事後的な監査だけでなく、日常的なデータを活用したリスクの予兆把握が可能となります。内部監査においても、異常の兆しを早期に捉え、優先度の高い領域から対応することで、より実効性の高い監査につなげることができます。
以下の資料では、NaLaLysの導入による効果やメリットを整理して解説しています。具体的にどういった業務でどのように活用できるのか、詳しい事例も取り上げているため、まずは無料でダウンロードしてみてください。
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