2026/05/15

解説

内部不正はなぜ起きるのか。発生パターンと企業が取るべき4つの対策を解説

内部不正はなぜ起きるのか。発生パターンと企業が取るべき4つの対策を解説

「内部不正はなぜ起きるのか」「自社で内部不正を防ぐには何をすればよいのか」と考える方は多いのではないでしょうか。内部不正とは、従業員や役員、退職者、委託先などの内部者が、企業の重要情報を持ち出したり、漏えいさせたり、不正に利用したりする行為を指します。

内部不正は、悪意のある行為だけでなく、過剰なアクセス権限やログ未監視、退職・異動時の管理不備、シャドーITの利用など、企業側の管理体制が不十分な場合にも発生しやすくなります。

そこで本記事では、以下の内容について詳しく解説します。

  • 内部不正の概要と近年の動向
  • 内部不正が発生する主な原因
  • 内部不正の発生パターン
  • 企業が行うべき対策と発覚時の対応方法

内部不正による情報漏えいや不正利用を防ぎたい企業の担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

「内部不正を未然に防ぎたい」「情報の持ち出しや不適切なやり取りを早期に把握したい」という方は、NaLaLysの活用を検討してみてください。
NaLaLysは、メールやチャット、音声データなどをAIで分析し、不正リスクの高いやり取りを自動で抽出できるツールです。
膨大なデータを一つずつ確認する負担を抑えながら、内部不正の兆候を早期に発見しやすくなります。まずはお気軽にお問い合わせください。

⇨NaLaLysへのお問い合わせはこちら

内部不正とは?

内部不正とは、従業員や役員、退職者などの内部者が、組織の重要情報や情報システムなどの情報資産を不正に窃取・持ち出し・漏えい・消去・破壊する行為を指します。IPAのガイドラインでは、以下のように定義されています。

法律違反に限らず、情報セキュリティに関する社内規程違反など、違法とまではいえない不正行為も内部不正に含まれる

内部不正というと、悪意を持って機密情報を盗み出す行為をイメージしがちですが、実際にはさまざまなケースがあります。例えば、以下のような行為も、企業のルールによっては内部不正に該当する可能性があるため注意しなければなりません。

  • 顧客情報を私用メールへ転送する
  • 退職前に営業資料をクラウドへ保存する
  • 許可されていないUSBメモリへデータをコピーする
  • 業務効率化を理由に私物端末で社内データを扱う

近年は、クラウドサービスやリモートワークの普及によって、社外から重要情報へアクセスできる機会が増えています。

参考:組織における内部不正防止ガイドライン

内部不正の動向

内部不正による情報漏えいは、IPAが公表する「情報セキュリティ10大脅威」において、継続的に選出されている脅威です。

出典:情報セキュリティ10大脅威 2026

2026年版では、「内部不正による情報漏えい等」が組織向け脅威の7位に選ばれました。また、初めて選出されたのは2016年で、2026年版まで11年連続で選出されています。この結果から、内部不正による情報漏えいは一時的な問題ではなく、企業が継続して警戒すべき情報セキュリティ上の課題であるといえます。

特に、内部不正は従業員や委託先など、業務上情報に触れる立場の人によって発生する可能性があります。外部攻撃のように明確な侵入の痕跡が残るとは限らないため、企業側には日常的な権限管理や利用状況の確認が求められます。

内部不正はなぜ起きるのか

内部不正が発生する背景には、個人の悪意だけでなく、企業の管理体制や業務環境、従業員の心理的要因などが関係しています。ここでは、内部不正が起きやすくなる主な原因を解説します。取り上げるのは以下の通りです。

  • 過剰な権限やログ未監視によって不正に気づきにくくなるため
  • 退職・異動・委託先で管理の継ぎ目が生まれる
  • 心理的な動機・機会・正当化が揃いやすいため

それぞれの原因を確認し、自社に同じようなリスクが潜んでいないかを見直してみてください。

過剰な権限やログ未監視によって不正に気づきにくくなるため

過剰なアクセス権限が付与されていたり、ログの確認が十分に行われていなかったりすると、内部不正が起きても発見が遅れる可能性があります。例えば、以下のような状態は注意が必要です。

  • 業務に不要な情報まで閲覧できる
  • 退職者や異動者のアカウントが残っている
  • ログを取得していても定期的に確認していない

また、業務委託先やパートナー企業など、社外の関係者に権限を付与する場合も注意が必要です。契約上は業務に必要なアクセスであっても、利用範囲や禁止事項が明確でなければ、不正利用を防ぎにくくなります。

そのため、アクセス権限は必要最小限に設定し、利用ルールを明確にしておくことが重要です。あわせて、組織外の関係者とは秘密保持契約書を取り交わすなど、情報の不正利用を抑止する仕組みを整えておく必要があります。

退職・異動・委託先で管理の継ぎ目が生まれる

退職や異動、委託契約の終了時は、内部不正のリスクが高まりやすいタイミングです。担当者が変わることで、権限の削除や貸与端末の返却、保存データの確認など、複数の管理手続きが必要になるためです。

例えば、以下のような対応が不十分な場合、管理の継ぎ目が生まれやすくなります。

  • 退職者のアカウントが残ったままになっている
  • 異動後も以前の部署の情報にアクセスできる
  • 委託契約の終了後も外部ベンダーの権限が残っている

これらの管理が現場任せになっていると、退職後も社内情報にアクセスできたり、委託先にデータが残ったりする可能性があります。実際に、元従業員が在職中に知り得たアカウント情報を使い、不正ログインを試みるケースもあります。

そのため、退職・異動・契約終了のタイミングでは、アカウントの無効化や削除、アクセス権限の見直し、貸与物の返却確認を確実に行うことが重要です。特に退職者のアカウントは放置せず、情報へアクセスできない状態にしておく必要があります。

心理的な動機・機会・正当化が揃いやすいため

内部不正は、悪意のある従業員がいるだけで発生するものではありません。従業員が不正に手を出してしまう背景には、心理的な要因や職場環境が関係している場合があります。特に、以下の3つが重なると、不正が起きやすくなると考えられます。

動機・金銭的な問題
・業務内容や待遇への不満
・強いプレッシャーなど
機会・チェック体制が甘い
・管理が属人化している
・監視の仕組みがないなど
正当化・慣行だから問題ない
・会社にも責任がある
など、不正への罪悪感が薄れる考え方

例えば、業務への不満を抱えている従業員が、誰にも確認されずに重要情報へアクセスできる状態にあり、「これくらいなら問題ない」と考えてしまうと、情報の持ち出しや不正利用につながる可能性があります。

そのため、内部不正を防ぐには、従業員のモラルだけに頼るのではなく、不正を起こしにくい管理体制や職場環境を整えることが重要です。

このような「動機・機会・正当化」の考え方は、不正のトライアングルとして知られています。詳しくは、以下の記事で解説しているためぜひチェックしてみてください。

参照記事:不正のトライアングルとは?3つの要素別に不正が起こる要因と対策方法を解説

内部不正はどのような発生パターンをたどるのか

内部不正は、表面化するまでの流れがさまざまです。一見すると通常業務の一部に見える行為でも、管理が不十分な場合は情報漏えいや不正利用につながる可能性があります。ここでは、内部不正で見られやすい主な発生パターンを解説します。ここで取り上げるのは以下の通りです。

  • 情報の持ち出しや不正利用
  • 特権IDの悪用によって長期化する
  • 委託先・派遣社員の管理不備
  • 悪意が明確でない不適切な情報共有

それぞれのパターンを確認し、自社で同様のリスクがないかを見直してみてください。

情報の持ち出しや不正利用

内部不正で多いのが、顧客情報や営業リスト、技術資料、取引先情報などを社外へ持ち出し、私的に利用するケースです。例えば、以下のような行為が該当します。

  • 退職前に営業先の情報を保存する
  • 転職先で使う目的で社内資料をコピーする
  • 業務で得た顧客情報を個人的に利用する

これらは、外部からシステムへ侵入するのではなく、正規の業務権限でアクセスできる情報を使って行われる点が特徴です。そのため、一見すると通常の業務操作と区別しにくく、不正な持ち出しや利用に気づくまで時間がかかる場合があります。

特に、誰がどの情報にアクセスしたのか、どのファイルをダウンロードしたのかを確認できない状態では、問題が発生しても原因の特定が難しくなります。

特権IDの悪用によって長期化する

特権IDとは、通常の従業員アカウントよりも強い権限を持つIDのことです。システム管理者アカウントやデータベース管理者アカウント、サーバー管理用アカウントなどが該当します。

特権IDは、システム設定の変更や大量データの閲覧、重要ファイルへのアクセスなど、幅広い操作ができる場合があります。そのため、管理が不十分な状態で悪用されると、機密情報の持ち出しや不正操作が長期化するリスクがあります。

また、複数人で同じ特権IDを共有している場合、実際に誰が操作したのかを特定しにくくなるため注意しなければなりません。ログが残っていても利用者を追跡できなければ、不正の発見や原因調査が遅れる可能性があります。

そのため、特権IDは利用者を限定し、操作履歴を確認できる状態にしておくことが重要です。

委託先・派遣社員の管理不備

業務委託先や外部ベンダー、派遣社員には、システム保守やデータ処理、顧客対応などのために、重要情報へのアクセス権限を付与する場合があります。

しかし、社外の関係者や一時的に業務へ関わる人の管理が不十分だと、内部不正のリスクが高まります。例えば、

  • 契約終了後もアカウントが残っている
  • 業務に必要な範囲を超えてデータを閲覧できる

といった状態は注意が必要です。

また、委託先の担当者がどの情報にアクセスしているのかを自社側で把握できていない場合、不正な閲覧や持ち出しがあっても発見が遅れる可能性があります。

そのため、外部関係者に権限を付与する場合は、アクセス範囲や利用期間を明確にし、契約終了時には速やかに権限を削除することが重要です。

悪意が明確でない不適切な情報共有

内部不正というと、意図的に情報を盗む行為だけでなく、本人に悪意がなくても、社内ルールに反した情報共有や、管理外のツール利用によって情報漏えいのリスクが生じる場合があります。

例えば、以下のような行為です。

  • 業務を早く進めるために個人のクラウドストレージへ資料を保存する
  • 社外のチャットツールで顧客情報を共有する
  • 私物端末に業務データを送る

本人に情報を悪用する意図がなくても、企業が管理できない環境に重要情報が置かれることで、漏えいや不正利用のリスクが高まります。

このように、会社が許可していないITツールやクラウドサービスを従業員が業務に利用する場合もありますが、アクセス権限や保存先、共有範囲を企業側で把握しにくい点が問題です。

そのため、従業員の判断に任せるのではなく、利用できるツールや情報共有のルールを明確にしておくことが重要です。

内部不正を防ぐために企業が行うべき対策

内部不正を防ぐには、従業員の意識だけに頼るのではなく、ルールの整備やアクセス管理、ログ監視、情報を扱う場所の管理などを組み合わせて対策することが重要です。ここでは、企業が行うべき内部不正対策を以下の4つに分けて解説します。

  • 人的対策
  • 技術的対策
  • 物理的対策
  • 組織的対策

それぞれの対策を組み合わせることで、内部不正が起きにくく、発生時にも早期に気づける体制を整えやすくなります。

人的対策

人的対策では、従業員や委託先が「どのような行為が内部不正にあたるのか」「何をしてはいけないのか」を理解できる状態を作ることが重要です。

そのためには、就業規則や秘密保持規程を整備するだけでなく、定期的な教育や誓約書の取得などを通じて、情報の取り扱いルールを周知する必要があります。

情報セキュリティ教育では、以下のような内容を共有すると効果的です。

  • 内部不正によって企業に生じるリスク
  • 実際に発生した内部不正の事例
  • 内部不正につながりやすい危険な行動
  • 情報を安全に扱うための基本的な対策

また、内部不正を早期に把握するには、従業員が違和感や問題を報告しやすい環境も欠かせません。内部通報制度を整備しておけば、不正の兆候を把握しやすくなります。ただし、制度を設けるだけでは十分とはいえません。

内部通報制度の場合、通報者が不利益を受けない仕組みや、安心して相談できる運用体制を整えることが重要です。内部通報制度の設計については、以下の記事で詳しく解説しています。

内部通報制度は“ある”だけでは不十分:「沈黙」を防ぐための制度設計

技術的対策

技術的対策では、重要情報にアクセスできる人を必要最小限に絞り、不正な操作や異常な動きを検知できる状態を作ることが重要です。

アクセス権限が適切に管理されていないと、本来は必要のない従業員まで機密情報を閲覧できる状態になり、内部不正のリスクが高まります。そのため、重要情報は業務上必要な担当者だけがアクセスできるようにし、退職者や異動者が出た場合は速やかに権限を削除する必要があります。

また、万が一に備えて、操作ログやアクセスログを取得・監視し、従業員の行動を見える化しておくことも重要です。

ログを確認できる状態にしておけば、情報の持ち出しが疑われる場合でも、以下のような履歴を確認しやすくなります。

  • 誰がアクセスしたのか
  • いつ操作したのか
  • どの端末から利用したのか
  • どのファイルを閲覧・送信したのか

また、ログを監視していることを従業員に周知することで、不正行為の抑止にもつながります。

メールによる情報持ち出しや不適切な送信を防ぎたい場合は、メール監査・監視に対応したNaLaLysの活用も有効です。内部不正対策としてメールの送受信状況を可視化したい企業は、導入を検討してみてください。

⇨NaLaLysへのお問い合わせはこちら

物理的対策

物理的対策では、情報機器や記録媒体、重要情報を扱う場所そのものを管理することが重要です。

内部不正は、システム上のアクセスだけで発生するわけではありません。貸与端末の持ち出し、印刷物の持ち帰り、USBなどの記録媒体へのコピーといった形で情報が外部に出るケースもあります。

そのため、従業員が許可なく情報を持ち出せないよう、以下のような行為を制限することが対策になります。

  • モバイルデバイスへのデータコピー
  • 印刷やスクリーンキャプチャ
  • USBなどの記録媒体へのコピー

ただし、すべてを厳しく制限すると、通常業務に支障が出る場合もあります。その場合は、持ち出しを一律に禁止するだけでなく、誰が、いつ、どの情報を持ち出したのかを追跡できる仕組みを整えておくことが重要です。

組織的対策

組織的対策では、経営者が内部不正対策の基本方針を示し、社内で継続的に取り組める体制を整えることが重要です。

内部不正対策は、情報システム部門だけで完結するものではありません。従業員教育や規程の整備は人事部門、職場環境の改善は総務部門、契約や誓約書の確認は法務部門など、複数の部門が関わります。

出典:組織における内部不正防止ガイドライン

そのため、総括責任者を置いたうえで、関係部門が連携できる体制を作る必要があります。具体的には、以下のような部門が協力して対策を進めます。

  • 人事部門
  • 総務部門
  • 法務部門
  • 情報システム部門
  • コンプライアンス部門
  • リスク管理部門

など

また、部門ごとに対応が分かれているだけでは、責任の所在が曖昧になり、対策が形だけになるおそれがあります。総括責任者のもとで、各部門の役割や対応手順を明確にし、一元的に管理することが重要です。

内部不正対策の基本的な考え方や具体策については、以下の記事でも詳しく解説しています。

内部不正対策とは?防止が難しい理由と基本5原則から実践的な具体策まで解説

内部不正の事例

内部不正は、企業規模や業種を問わず発生する可能性があります。ここでは、公表されている事例をもとに、内部不正がどのように発覚し、どのような対応が行われたのかを紹介します。

  • 社内資料を在職中に社外へ持ち出し
  • 個人情報を名簿業者に売却
  • 元職員による個人情報等の持ち出し

実際の事例を見ると、退職前の情報持ち出し、委託先関係者による不正取得、退職後に残った権限や管理不備をきっかけとした情報漏えいなど、発生の経緯はさまざまです。

社内資料を在職中に社外へ持ち出し

 事例の概要  旅行事業に在籍していた元従業員が、退職直前に顧客担当者や従業員の個人情報を含む社内資料を社外へ持ち出していた
原因退職前の従業員が業務上アクセスできる社内資料を社外へ持ち出せる状態だったことが問題

この事例では、旅行事業の営業担当として在籍していた元従業員が、退職直前に社内資料を社外へ持ち出していたことが確認されました。持ち出された資料には、宿泊施設の担当者に関する氏名、メールアドレス、電話番号、勤務先、役職、所属部署などの情報が含まれていました。

また、顧客側の情報だけでなく、対象の宿泊施設を担当していた自社従業員の氏名や所属も含まれていたとされています。退職前の従業員が、在職中にアクセスできる情報を外部へ持ち出した点で、退職時の管理が重要になる事例です。

この事例からは、退職直前の情報持ち出しを防ぐために、アクセス権限の見直しや持ち出し状況の確認を行う重要性がわかります。特に、営業資料や顧客情報を扱う部門では、退職・異動時の手続きだけでなく、日常的なモニタリング体制を整えておくことが重要です。

個人情報を名簿業者に売却

 事例の概要  顧客情報が社外へ漏えいし、業務委託先の元社員が不正に取得した情報を名簿業者へ売却していた
原因業務委託先の関係者が顧客情報を扱える立場にあり、データベースから情報を持ち出せる状態だったことが問題

こちらの事例では、顧客からの問い合わせをきっかけに、個人情報が社外へ漏えいしている可能性が判明しました。その後の社内調査により、自社が管理するデータベースから顧客情報が不正に持ち出されていた可能性が高いことが確認されています。

この事例で特徴的なのは、不正を行ったのが自社の正社員ではなく、システム開発・運用に関わっていたグループ会社の業務委託先元社員だった点です。業務上、顧客情報にアクセスできる立場にあった人物が、その権限を悪用して情報を取得し、名簿業者へ売却していました。

このようなケースを防ぐには、委託先や外部関係者に付与するアクセス権限を必要最小限にするだけでなく、誰がどの情報にアクセスしたのかを確認できる仕組みを整えておくことが重要です。特に大量の個人情報を扱う業務では、権限の管理と操作ログの確認を継続的に行う必要があります。

元職員による個人情報等の持ち出し

 事例の概要  教育委員会の元職員が、在職中および退職日翌日に、個人情報を含む電子ファイルを持ち出したと判断された
原因USBメモリの接続制限がない専用パソコンを経由して、個人情報を含むファイルを外部媒体へ移せる状態だった

こちらの事例では、市民から「元職員から選挙はがきが届いた」という問い合わせがあり、個人情報の漏えいが疑われたことをきっかけに調査が行われました。その結果、元職員が在職中および退職日翌日に、個人情報を含む電子ファイルを持ち出した可能性があることが判明しています。

特に問題となったのは、情報を持ち出せる経路が残っていた点です。通常使用していた庁内ネットワークのパソコンにはUSBメモリの接続制限がありましたが、公共施設予約システム専用パソコンには同様の制限がなく、そこを経由してファイルを別のUSBメモリへ移せる状態でした。さらに、退職日翌日に執務室への入室が許可されていたことも、管理上の問題として挙げられます。

この事例は、退職者のアカウント削除や入退室管理、USBメモリなどの記録媒体の制限が不十分だと、退職後でも情報持ち出しのリスクが残ることを示しています。内部不正対策では、退職時の権限削除や貸与物の確認だけでなく、利用履歴を追跡できる仕組みを整えることも重要です。

内部不正が発覚した場合の対応方法

内部不正が発覚した場合は、事実確認を急ぐだけでなく、証拠の保全や被害拡大の防止を優先する必要があります。対応を誤ると、ログやデータが削除されたり、証拠が残りにくくなったりする可能性があるためです。

ここでは、内部不正が発覚した際に確認すべき対応を以下の3つに分けて解説します。

  • 証拠保全とアクセス制御を優先する
  • 個人情報漏えい時の報告・通知を確認する
  • モニタリングと従業員のプライバシー保護を両立する

発覚後の対応では、原因究明と再発防止だけでなく、法令対応や従業員への配慮も含めて進めることが重要です。

証拠保全とアクセス制御を優先する

内部不正が疑われる場合は、まず証拠を保全し、後から改ざん・削除されない状態にしておくことが重要です。例えば、以下のものは事実関係を確認するうえで重要な記録になります。

  • アクセスログ
  • 操作ログ
  • メールの送受信履歴
  • ファイルの更新履歴

など

これらが失われると、誰が、いつ、どの情報にアクセスしたのかを確認しにくくなるため注意しなければなりません。あわせて、被害の拡大を防ぐために、関係者のアカウント停止や権限の一時制限、重要情報へのアクセス遮断などを行います。

注意すべきなのは、十分な記録を確保する前に本人へ確認しないことです。先に聞き取りを行うと、証拠の削除や口裏合わせにつながる可能性があります。そのため、まずは客観的な記録を確保したうえで、必要な調査を進めることが大切です。

個人情報漏えい時の報告・通知を確認する

内部不正によって個人情報が漏えいした場合は、社内調査だけで対応を終わらせるのではなく、個人情報保護委員会への報告や本人への通知が必要になるかを確認する必要があります。

個人情報保護法では、以下のように個人の権利利益を害するおそれが大きい漏えいなどが発生した場合、個人情報保護委員会への報告が求められています。

個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失、毀損その他の個人データの安全の確保に係る事態であって個人の権利利益を害するおそれが大きいものとして個人情報保護委員会規則で定めるものが生じたときは、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、当該事態が生じた旨を個人情報保護委員会に報告しなければならない。

引用:個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)

また、個人の権利利益を害するおそれがある漏えい等に該当する場合は、個人情報保護委員会への報告と本人への通知を速やかに行う必要があります。

加えて、報告は速報と確報の二段階。原則、把握後速やかに速報し、確報は30日以内(不正の目的によるおそれがある場合は60日以内)に行うことが義務付けられているため、発覚直後から漏えいした情報の内容や件数、原因、被害の可能性などを整理しておくことが重要です。

参考:個人情報保護委員会個人情報保護法改正に伴う漏洩等報告の義務化と対応について

モニタリングと従業員のプライバシー保護を両立する

内部不正を防ぐには、メールやチャット、ファイル操作、アクセスログなどのモニタリングが有効です。従業員の操作状況を確認できる状態にしておくことで、不審な情報送信や大量ダウンロード、通常とは異なるアクセスなどに気づきやすくなります。

ただし、モニタリングは従業員のプライバシーにも関わるため、目的や範囲を曖昧にしたまま実施するのは避けるべきです。あらかじめ内部規程や就業規則などで、以下のような内容を明確にしておく必要があります。

  • モニタリングの対象
  • 実施する目的
  • 確認できる担当者や権限
  • 具体的な確認方法
  • 取得したログの取り扱い

内部不正対策におけるモニタリングは、従業員を疑うための仕組みではありません。正しく働く従業員を守り、問題が起きたときに公平に事実確認できる状態を作るための仕組みとして設計することが重要です。

モニタリングの考え方や実務での進め方については以下の記事で詳しく解説しているため、こちらもご覧ください。

内部統制の一要素であるモニタリングとは?実務での進め方と形骸化させないポイント

メールは、情報の持ち出し経路になりやすい手段の一つです。NaLaLysを活用すれば、メールの送受信状況を把握しやすくなり、不審な送信の早期発見や内部不正の抑止につなげられます。内部不正対策の1つとして、ぜひ導入を検討してみてください。

⇨NaLaLysへのお問い合わせはこちら

内部不正対策を強化するならNaLaLysを活用

内部不正は、従業員や委託先による情報の持ち出し、特権IDの悪用、不適切な情報共有など、さまざまな形で発生します。ルールの整備や教育、アクセス権限の管理は重要ですが、それだけで内部不正を完全に防ぐのは困難です。

特に、実務では以下のような課題が生じやすくなります。

  • メールやチャットでの情報持ち出しに気づきにくい
  • ログを取得していても確認する人員が足りない
  • 不審なやり取りを人手で探すのに時間がかかる
  • 退職・異動前後の情報持ち出しを見落とす可能性がある

こうした課題に対応するには、日常的なコミュニケーションデータを活用し、内部不正の兆候を早期に把握できる仕組みを整えることが重要です。

NaLaLysは、社内のメールやチャットなどのコミュニケーションデータを分析し、不正リスクの高いやり取りを抽出できるモニタリングツールです。大量のデータをすべて目視で確認するのではなく、リスクの高いものを優先的に確認できるため、限られた人員でも継続的な監視体制を構築しやすくなります。

NaLaLysの主な特徴は以下のとおりです。

  • AIがリスクの高いやり取りを自動で抽出
  • リスクをスコア化し、優先度の高いものから確認可能
  • 専門家の知見に基づいたキーワードや独自ロジックを活用
  • 自社の運用に合わせたキーワード設定や過去事案の学習に対応

内部不正対策では、不正が起きないようにする予防策だけでなく、万が一の兆候に早く気づける仕組みも必要です。NaLaLysを活用すれば、メールやチャット上の不審なやり取りを把握しやすくなり、情報持ち出しや不適切な情報共有の早期発見につなげられます。

以下の資料では、NaLaLysの導入による効果やメリットを整理して解説しています。具体的にどういった業務でどのように活用できるのか、詳しい事例も取り上げているため、まずは無料でダウンロードしてみてください。

⇨NaLaLysの資料ダウンロードはこちら

Contact

お問い合わせ

会社の不正対策についてご検討中の方は
資料をダウンロードいただくか、
まずはお問い合わせください