2026/06/15

解説

内部通報窓口の設置と運用|社内・社外・併用の3パターンと費用・運用ルール

内部通報窓口の設置と運用|社内・社外・併用の3パターンと費用・運用ルール

内部通報窓口を設置する際、社内と社外のどちらに置くべきか、またどのようなルールや費用が生じるかは、多くの企業担当者が直面する課題です。

内部通報窓口は、社内の不正や法令違反を早期に発見し、適切な調査・是正につなげるための窓口です。

特に常時使用する労働者数が301人以上の事業者には、公益通報に対応するための体制整備が義務付けられており、窓口を設置するだけでなく、通報者保護や受付後の対応フローまで整える必要があります。

そこで本記事では、

  • 内部通報窓口の概要
  • 内部通報窓口の設置パターン
  • 内部通報窓口の設置費用
  • 設置・運用時に押さえるべきルール

について詳しく解説します。内部通報窓口の設置や見直しを検討する企業の担当者に向けて整理します。

内部通報窓口は、従業員が安心して相談できる環境づくりが重要です。NaLaLysの「AI通報窓口」は、AIが24時間365日、通報の一次受付やヒアリングを支援します。内部通報窓口の設置や運用に課題を抱える企業には、AIを活用した通報窓口サービスという選択肢もあります。
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内部通報窓口(公益通報窓口)とは?

内部通報窓口(公益通報窓口)とは、従業員や役員などが社内の法令違反や不正行為、コンプライアンス違反を発見した際に、その内容を報告・相談するための窓口です。

厳密には「内部通報窓口」と「公益通報窓口」は異なる概念ですが、企業の実務では同じ意味合いで使われることも少なくありません。一般的には、社内の不正や問題行為に関する通報を受け付ける窓口全般を指します。

本記事では、社内外の不正・コンプライアンス通報を受け付ける窓口を総称して「内部通報窓口」と表記します。ただし、公益通報者保護法上の「公益通報」は、通報対象事実・通報者の属性・通報先などの法定要件を満たすものを指すため、内部通報窓口で受け付ける通報のすべてが法律上の「公益通報」に該当するわけではない点には整理が必要です。

設置方法には主に以下のパターンがあります。

  • 人事部や総務部などの社内部門に設置する
  • 弁護士事務所や専門業者など外部機関へ委託する
  • 社内窓口と社外窓口を併用する

企業は、こうした窓口を通じて不正行為や法令違反の兆候を早期に把握し、事実確認や是正措置につなげます。内部通報窓口は「内部通報制度」を構成する重要な要素のひとつです。

なお、内部通報制度そのものの定義や、公益通報者保護法に基づく体制整備義務の全体像については、内部通報制度とは|公益通報者保護法2026年施行から実効性ある運用までの完全ガイドで体系的に整理しています。窓口設置を含む制度導入の全体手順を順序立てて確認したい場合は、内部通報制度の作り方|導入5ステップと形骸化させない運用も参考になります。

不正行為を放置すると、発覚した際に取引先や顧客からの信頼を失い、企業イメージの低下や業績悪化につながるおそれがあります。

そのため、多くの企業では、不正の早期発見やコンプライアンス違反の防止を目的として、内部通報制度を導入しています。実際、各種の実態調査でも、組織内の不正が発覚する端緒として内部通報が大きな割合を占めることが報告されています。最新調査に基づく内部通報制度の実態は、内部通報制度の実態を最新調査で解説。形骸化を防ぐ4つの視点で整理しています。

内部通報窓口の設置は義務付けられている

内部通報窓口(公益通報窓口)は、令和2年(2020年)の公益通報者保護法改正(令和4年(2022年)6月施行)により、常時使用する労働者数が301人以上の事業者に体制整備(窓口設置を含む)が義務付けられています。なお、この人数は正社員のほかパート・アルバイト・派遣社員等を含む常時使用する労働者で判断され、役員はこの計数には含まれません。同法では、公益通報対応業務(通報の受付・調査・是正)に従事する者を定めることが求められています。

第十一条 事業者は、第三条第一号及び第六条第一号に定める公益通報を受け、並びに当該公益通報に係る通報対象事実の調査をし、及びその是正に必要な措置をとる業務(次条において「公益通報対応業務」という。)に従事する者(次条において「公益通報対応業務従事者」という。)を定めなければならない。 2 事業者は、前項に定めるもののほか、公益通報者の保護を図るとともに、公益通報の内容の活用により国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図るため、第三条第一号及び第六条第一号に定める公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとらなければならない。
引用:公益通報者保護法

常時使用する労働者数が301人以上の事業者は、通報を受け付ける窓口を用意するだけでなく、調査や是正措置まで適切に行える体制を整える必要があります。

一方で、従業員数300人以下の事業者については、内部通報窓口の設置は努力義務とされています。

常時使用する労働者の数が三百人以下の事業者については、第一項中「定めなければ」とあるのは「定めるように努めなければ」と、前項中「とらなければ」とあるのは「とるように努めなければ」とする。
引用:公益通報者保護法

300人以下の事業者は法律上の義務ではないものの、不正の早期発見やコンプライアンス強化の観点から、内部通報制度の整備を検討することが重要です。なお、2026年12月1日施行の令和7年(2025年)改正のポイントについては、公益通報者保護法 改正 企業対応ガイド|2026年12月施行・義務整備の5つの柱で解説しています。

内部通報制度の導入状況

内部通報制度は大企業だけでなく、中小企業にも広がりつつあります。

消費者庁「令和5年度 民間事業者等における内部通報制度の実態調査 報告書」(令和6年4月公表)によると、常時使用する労働者の数が300人以下の事業者においても、46.9%が内部通報制度を導入していることが分かっています(同調査における制度導入の定義に基づく数値です)。

出典:消費者庁「令和5年度 民間事業者等における内部通報制度の実態調査 報告書」(令和6年4月)

内部通報窓口の設置は、300人以下の事業者では努力義務とされています。調査結果を見ると、導入済みの企業は半数に満たないものの、一定数の企業が不正の早期発見やコンプライアンス強化を目的として制度整備を進めていることが分かります。

社内の不正や法令違反は、問題が大きくなってから発覚すると、企業の信用低下や取引先・顧客との関係悪化につながるおそれがあります。従業員が安心して相談できる窓口を用意しておくことは、リスクを早期に把握し、重大なトラブルへ発展する前に対応するためにも重要です。

以下の記事では、内部通報制度を従業員が安心して利用できる制度設計や運用体制を整備する上でのポイントについて解説しています。
内部通報制度は“ある”だけでは不十分:「沈黙」を防ぐための制度設計

内部通報窓口の設置パターン

内部通報窓口の設置方法は、大きく分けて3つあります。どの方法にもメリット・デメリットがあるため、自社の規模や組織体制に応じて適切な方法を選ぶことが重要です。

  • 社内窓口のみに設置する
  • 社外窓口のみに設置する
  • 社内窓口と社外窓口を併用する

それぞれの特徴を理解したうえで、自社に合った運用方法を検討することが求められます。ここでは、3つの設置パターンについて詳しく解説します。なお、社内・弁護士・代行業者・システム窓口といった窓口形態ごとの独立性・匿名性・コスト・対応品質の詳しい比較や選び方は、内部通報窓口の選び方|社内・弁護士・代行・システム窓口の比較で整理していますので、形態選定の段階ではあわせて参照すると検討しやすくなります。

社内窓口のみに設置する

社内窓口のみを設置する方法は、運用コストを抑えながら内部通報制度を導入したい企業に向いている方法です。

この方法は、社内事情を把握した担当者が対応できる一方で、通報者が相談しづらいと感じる可能性があります。

メリット・社内事情を踏まえて対応できる
・事実確認や関係部署との連携を進めやすい
・外部委託に比べて運用コストを抑えやすい
デメリット・通報者が「社内に知られるのでは」と不安を感じやすい
・窓口担当者と通報者が顔見知りの場合、相談しづらい
・秘密保持や中立性への不安が生じやすい

社内窓口は、一般的に総務部や人事部などの管理部門、または内部監査部門に設置され、組織構造や業務内容を踏まえた対応がしやすい点が特徴です。

ただし、通報者が「上司や関係者に情報が漏れるのではないか」と不安を感じることがあるため、秘密保持のルールを明確にし、通報者が安心して相談できる体制を整えることが重要です。

社外窓口のみに設置する

社外窓口のみを設置する方法は、通報者が社内の人間関係を気にせず相談しやすい一方で、社内事情を踏まえた対応に時間がかかる可能性がある方法です。

メリット・社内の担当者を介さずに相談できる
・通報者の心理的なハードルを下げやすい
・匿名性や公正性を確保しやすい
デメリット・社内の実情や組織構造を把握しづらい
・事実確認や関係部署との連携に時間がかかる場合がある
・通報内容の背景を正確に理解するために社内との連携が必要になる

社外窓口は、弁護士事務所や外部の専門業者など、企業の外部に設置する通報窓口です。第三者が通報を受け付けるため、従業員が相談しやすく、匿名性を確保しやすい設計にできるほか、中立的な立場から判断してもらえる可能性があります。ただし、匿名性が確保されるかどうかは窓口の運用設計によるため、外部委託であれば当然に匿名性が守られるわけではない点には留意が必要です。

ただし、社内の人間関係や業務フロー、組織構造を十分に把握できない場合があります。そのため、通報内容に応じて社内担当者と連携し、事実確認や是正措置につなげる体制を整えておくことが重要です。

社内窓口と社外窓口を併用する

社内窓口と社外窓口を併用する方法は、社内対応のしやすさと、通報者にとっての相談しやすさを両立しやすい方法です。

例えば、社内窓口を総務部や人事部に、社外窓口を弁護士や外部の専門業者に設けることで、以下のような対応がしやすくなります。

  • 通報者が内容や状況に応じて相談先を選べる
  • 社外窓口で通報受付や一次対応を行える
  • 社内窓口で事実確認や関係部署との調整を進めやすい
  • 社内窓口のみ、社外窓口のみの弱点を補いやすい

ただし、窓口が複数ある場合は、対応基準や情報共有のルールが曖昧にならないよう注意が必要です。通報を受け付けた後の報告先、調査の進め方、通報者への連絡方法などを事前に整理しておくことで、社内外の窓口が連携しやすくなります。

NaLaLysのAI通報窓口は、AIによる24時間365日の一次受付に対応しています。自社内に設置する内部通報窓口だけでなく、外部弁護士が設置する社外窓口としても利用できるため、社内窓口と社外窓口を併用したい企業にも適しています。
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内部通報窓口の設置費用

内部通報窓口の設置費用は、社内で運用するか、外部へ委託するかによって異なります。委託先・対応範囲・従業員規模によって、月額数千円から数十万円以上まで大きく変動します。以下はあくまで一般的な目安であり、実際の費用は各サービスへの見積もりで確認する必要があります。

設置方法費用の目安特徴
社内窓口(管理ツール利用)月額3,000円程度〜(人件費・運用コストは別途)人事部や総務部などが運用。外部委託費はかからないが、担当者の工数が発生する
社外窓口月額1.5万円程度〜数万円程度弁護士や専門業者へ委託。第三者性を確保しやすい
社内・社外併用社内・社外の費用を合算した水準通報しやすさと対応のしやすさを両立しやすい

社内窓口のみで運用する場合、外部委託費は発生しないため、費用を抑えやすい点がメリットです。例えば、内部通報を管理するツールを利用する場合、月額3,000円程度から導入できるものもあります。ただし、これはツール利用料の目安であり、通報の受付や記録、初動対応、調査部門との連携などを社内担当者が行う必要があるため、人件費や運用負担は別途考慮しなければなりません。

社外窓口を設置する場合は、弁護士事務所や専門業者への委託費用が発生します。費用は委託先や対応範囲によって異なり、月額1.5万円程度から利用できるサービスもありますが、対応範囲が広いサービスでは月額数万円程度になることも一般的で、大規模事業者向けや調査支援まで含むサービスでは数十万円規模に及ぶこともあります。また、月額費用のほか、通報件数に応じた費用や規程整備費用がかかるケースもあります。

内部通報窓口の費用は、単純な金額だけで比較するのではなく、自社に必要な対応範囲や運用体制に合っているかを基準に判断することが大切です。

内部通報窓口の設置・運用のルール

内部通報窓口は設置するだけでなく、適切に運用するためのルールを整備することが重要です。ここでは、内部通報窓口の設置・運用において押さえておきたいポイントとして以下について解説します。

  • 一定の要件を満たす通報者が保護対象
  • 通報者の秘密保持と不利益取扱いの禁止を定める
  • 通報対応の担当者と利害関係者の除外ルールを決める
  • 受付から調査・是正までの対応フローを整備する
  • 社内周知と取引先への保護要請を行う

一定の要件を満たす通報者が保護対象

公益通報者保護法では、一定の要件を満たす通報者が保護対象となります。主な対象は、従業員・役員・退職者です。

区分対象者の例
従業員正社員、派遣社員、アルバイト、パートタイマーなどの労働者
役員取締役、監査役など、企業の経営に携わる人
退職者退職してから1年以内の元従業員(労働者であった者)

従業員には、正社員だけでなく、派遣社員やアルバイト、パートタイマーなどの労働者が含まれます。

役員は、取締役や監査役など、企業の経営に関わる立場の人が対象で、退職者も退職後1年以内であれば保護対象です。

なお、現行法では、業務委託を受けて働くフリーランス(個人事業主)は、原則として直接の保護対象には含まれていません(通報の経路や内容によって保護の可否が問題となる場合はあります)。後述のとおり、フリーランスの保護は2026年12月1日施行の改正で新たに加わる点に注意が必要です。

そのため、内部通報窓口を設置する際は、「現在働いている正社員からの通報」だけを想定するのではなく、派遣社員やアルバイト、役員、退職者からの通報にも対応できる体制を整えておくことが重要です。

なお、2026年12月1日に施行される令和7年(2025年)改正(2025年6月公布済み)により、フリーランス(特定受託業務従事者)や、業務委託関係が終了してから1年以内の元フリーランスからの通報への対応も義務付けられます。

通報者の秘密保持と不利益取扱いの禁止を定める

内部通報制度を運用するうえでは、通報者の秘密を守ることと、通報を理由とした不利益な取扱いを禁止することが重要です。公益通報者保護法では、公益通報を行ったことを理由とする解雇や不利益な取扱いを禁止しています。

第三条|解雇の無効
労働者である公益通報者が次の各号に掲げる場合においてそれぞれ当該各号に定める公益通報をしたことを理由として前条第一項第一号に定める事業者(当該労働者を自ら使用するものに限る。第九条において同じ。)が行った解雇は、無効とする。
引用:公益通報者保護法

つまり、公益通報を行ったことを理由に解雇しても、その解雇は無効となります。また、解雇以外の不利益な取扱いについても禁止されています。

第五条|不利益取扱いの禁止
公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、降格、減給、退職金の不支給その他不利益な取扱いをしてはならない。
引用:公益通報者保護法

不利益な取扱いには、以下のような行為が含まれます。

  • 降格
  • 減給
  • 退職金の不支給・減額
  • 給与上の差別
  • 訓告や懲戒処分
  • 退職の強要
  • 雑務のみを担当させる配置転換

など

こうした取扱いが行われると、従業員は安心して通報できなくなり、内部通報制度そのものが機能しなくなるおそれがあります。企業は通報者の秘密保持を徹底するとともに、通報を理由とした不利益な取扱いを行わないことを社内規程などで明確に定めておく必要があります。

通報対応の担当者と利害関係者の除外ルールを決める

内部通報制度を適切に運用するためには、通報対応の担当者や担当部署をあらかじめ決めておくことが重要です。

担当者が曖昧なままだと、通報後の対応が遅れたり、調査や是正措置の責任の所在が不明確になったりするおそれがあります。そのため、誰が通報を受け付け、誰が調査を行い、誰が是正措置を判断するのかを明確にしておく必要があります。

窓口は人事部や総務部などの管理部門に設置するほか、外部の専門機関を活用することもできます。

外部窓口の例としては、以下のようなものがあります。

  • 通報受付専門会社への委託
  • 独立した外部弁護士への委託
  • グループ本社による窓口の一元化
  • 業界団体や事業者団体による共同窓口

さらに、利害関係者を調査や判断から除外するルールも必要です。

通報対象者本人やその上司・部下が調査に関与すると公正な対応が難しくなります。特に経営幹部が関与する不正も想定し、窓口担当者が社外取締役や監査役へ直接報告できるなど、経営陣から独立した報告ルートを確保しておくことが重要です。

受付から調査・是正までの対応フローを整備する

内部通報制度を機能させるためには、通報を受け付けるだけでなく、受付後の対応フローを明確にしておくことが重要です。

対応手順が定まっていない場合、担当者ごとに判断基準が異なったり、対応の遅れや情報漏えいが発生したりするおそれがあります。また、通報内容によっては迅速な調査や証拠保全が必要になるケースもあるため、誰がどのような手順で対応するのかを事前に整理しておかなければなりません。

内部通報窓口では、一般的に以下のような流れで対応を進めます。

また、通報内容や調査結果、対応経過については記録として残し、後から確認できる状態にしておくことも重要です。記録が適切に管理されていれば、監査対応や再発防止策の検討に活用できるだけでなく、対応の妥当性を検証する際にも役立ちます。

特に、不正の内容によっては長期間にわたる調査や継続的な対応が必要になる場合もあります。担当者が変わった場合でも適切に引き継げるよう、対応履歴を残しておくことが大切です。

通報を受け付けた後の受付から調査・是正・被通報者対応までの具体的な進め方については、内部通報の調査方法と対応手順|受付から是正・被通報者対応まで徹底解説で詳しく解説しています。社内不正全般の調査の概要や具体的なステップは、社内不正調査とは?初動対応・本調査の各ステップや未然に防ぐ方法まで解説でも整理しています。

社内周知と取引先への保護要請を行う

内部通報制度を整備しても、従業員が制度の存在や利用方法を知らなければ十分に機能しません。そのため、社内への継続的な周知を行うことが重要です。

具体的には、通報窓口の利用方法や通報できる内容に加え、通報者の秘密が守られることや、通報を理由とした不利益な取扱いが禁止されていることを従業員へ周知する必要があります。制度への理解が深まることで、従業員が安心して相談しやすい環境づくりにつながります。

また、内部通報制度の対象は自社の従業員だけとは限りません。親会社や元請会社が設置する窓口を利用するケースや、取引先の従業員が通報するケースも考えられます。

そのため、通報者が所属先で報復や不利益な取扱いを受けることがないよう、関係会社や取引先に対しても通報者保護への理解を求めることが重要です。秘密保持を徹底するだけでなく、関係者と連携しながら適切な保護体制を整えることで、内部通報制度の実効性を高めることができます。通報後に報復や不利益な取扱いが争われた具体的な事例は、内部通報の事例10選をタイプ別に紹介。通報後の対応と企業が学ぶべきポイント で紹介しています。

内部通報窓口の設置は自社で行うべきか

内部通報窓口は自社で設置・運用することも可能ですが、すべてを社内だけで完結させることが最適とは限りません。

特に、通報者の匿名性や制度への信頼性、中立的な調査体制を確保するためには、外部窓口や専門家の活用を検討することも重要です。

一方で、法務・コンプライアンス部門が整備され、被通報者になり得る部署からの独立性や秘密保持を社内で確保できる事業者では、社内窓口を中心とした運用が十分に機能するケースもあります。どちらが優れているという問題ではなく、自社の規模・体制・リスク特性に照らして、社内と社外の役割分担を設計することが重要です。

ここでは、内部通報窓口を自社で運用する場合の課題と、外部窓口を活用するメリットの双方について解説します。

  • 通報受付は外部化した方が相談されやすい
  • 法的判断や重大な案件は専門家の関与が必要になる
  • 小規模企業ほど社内完結はリスクになりやすい

内部通報制度の目的は窓口を設置することではなく、不正やコンプライアンス違反を早期に発見し、適切に対応することです。そのため、自社にとって最適な運用体制を検討することが重要です。

通報受付は外部化した方が相談されやすい

内部通報窓口では、不正を早期に発見するためにも、通報者が安心して相談できる環境を整えることが重要です。

そのため、通報の受付については、社内ではなく外部窓口を活用する方法も有効です。弁護士や外部の専門会社が受付を担当することで、通報者は上司や同僚との人間関係を気にせず相談しやすくなります。

特に、「通報内容が社内に漏れるのではないか」「自分が通報したことが知られるのではないか」といった不安は、内部通報制度が利用されない大きな要因の一つです。外部窓口を設置することで、こうした心理的なハードルを下げやすくなります。

また、第三者が通報を受け付けることで、中立性や公平性への信頼も高まりやすくなります。内部通報制度を実効性のあるものにするためには、通報後の対応だけでなく、通報しやすい受付体制を整備することも重要です。

法的判断や重大な案件は専門家の関与が必要になる

内部通報の内容によっては、弁護士などの専門家が関与できる体制を整えておくことが重要です。

内部通報には、ハラスメントや情報漏えい、不正会計、横領など、法的リスクを伴う案件が含まれる場合があります。こうした案件では、事実関係の確認だけでなく、法令違反に該当するかどうかの判断や、適切な対応方針の検討が必要になります。

そのため、すべての案件を社内だけで対応しようとするのではなく、内容に応じて専門家の関与を検討することが重要です。

内部通報窓口を自社で設置する場合でも、法的判断が必要な場面で弁護士などへ相談できる体制を整えておけば、対応の適法性や公平性を確保しやすくなります。また、重大な案件が発生した際にも、迅速かつ適切な対応につなげることができます。

小規模企業ほど社内完結はリスクになりやすい

小規模企業の場合、内部通報制度を社内だけで運用することには注意が必要です。

小規模企業では従業員同士の距離が近く、通報内容や通報者が特定されるリスクが高まります。そのため、内部通報窓口を設置していても、「誰が通報したのか分かってしまうのではないか」と不安を感じ、利用をためらう従業員も少なくありません。

また、窓口担当者が通報対象者と近い関係にあったり、経営者へ情報が伝わりやすい環境だったりすると、中立的な対応や秘密保持が難しくなる場合があります。

そのため、小規模企業では、内部通報窓口を設置するかどうかだけでなく、秘密保持や中立性を確保できる体制になっているかを重視することが重要です。

特に、法務やコンプライアンスの専任担当者がいない企業では、外部窓口や弁護士などの専門家を活用することで、制度への信頼性を高めやすくなります。通報者が安心して利用できる環境を整えることが、内部通報制度を機能させるための重要なポイントです。

内部通報制度は不正の早期発見に役立ちますが、通報が来た時点では、すでに問題が進行しているケースもあります。

不正をより早い段階で捉えるには、通報や事後調査だけでなく、業務プロセスのなかに現れる違和感や例外処理にも目を向けることが重要です。この視点については、以下の記事で詳しく解説しています。
内部通報と事後調査だけでは遅い――不正リスクを“結果”ではなく“プロセス”で捉える

内部通報窓口の設置はNaLaLysの「AI通報窓口」

内部通報窓口は、設置するだけでなく**、従業員が相談しやすく、担当者が適切に対応できる状態にしておくことが重要**です。しかし、実際の運用では、通報受付やヒアリング、記録管理が担当者に集中し、対応が属人化してしまうケースもあります。

NaLaLysのAI通報窓口は、AIチャットボットが通報の一次受付からヒアリングまでを支援するサービスです。24時間365日対応できるため、深夜や休日の通報も受け付けやすく、担当者の負担軽減にもつながります。

主な特徴は以下のとおりです。

  • AIが24時間365日、通報の一次受付に対応
  • 通報内容を5W1Hで整理・可視化
  • ダッシュボードで案件を一元管理
  • 記名・匿名にかかわらず通報者との継続コミュニケーションが可能
  • 国内サーバー管理・入力データの学習利用なし
  • 既存の顧問弁護士窓口との併用も可能

また、NaLaLysのAI通報窓口は、自社内に設置する内部通報窓口だけでなく、外部弁護士が設置する社外窓口としても利用できます。そのため、社内窓口と社外窓口を併用したい企業や、現在の内部通報窓口の運用負担を減らしたい企業にも適しています。

内部通報窓口の新設や見直しを検討する企業向けに、NaLaLys「AI通報窓口」の製品ページで機能や導入条件を紹介しています。

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