2026/05/29
内部通報制度とは?公益通報者保護法を踏まえた体制整備義務と実務上の運用ポイント
「内部通報制度を整備したいが、何から始めればよいかわからない」「公益通報者保護法に対応するために必要なことを知りたい」と考える方は多いのではないでしょうか。内部通報制度は、社内の不正や法令違反を早期に発見し、企業と従業員を守るための仕組みです。
特に従業員数301人以上の事業者には、内部通報に対応するための体制整備が義務付けられており、制度を形だけで終わらせず、実務で機能させることが重要です。
そこで本記事では、
- 内部通報制度の概要
- 公益通報者保護法との関係
- 内部通報制度の導入手順
- 形骸化させないための運用ポイント
などについて詳しく解説します。内部通報制度の整備や見直しを検討している企業の担当者は、ぜひ参考にしてください。
内部通報制度を整備しても、通報しやすい窓口や受付後の管理体制が整っていなければ、十分に機能しない場合があります。
NaLaLys AI通報窓口は、AIが24時間365日、通報の一次受付やヒアリングを支援するサービスです。内部通報制度を実務で機能させたい方は、導入を検討してみてください。
⇨NaLaLysへのお問い合わせはこちら
目次
内部通報制度とは?
内部通報制度とは、企業や組織の中で発生した不正行為や法令違反、倫理に反する行為などについて、従業員や役員などが通報・相談できる仕組みのことです。
社内で問題が起きていても、通常の報告ルートでは上司に相談しにくいケースがあります。そこで、専用の通報窓口を設けることで、不正の兆候を早い段階で把握し、調査や是正につなげられるようにします。
たとえば、内部通報の対象になり得る行為には、以下のようなものがあります。
- 経費の不正使用
- 保険金の不正請求
- 粉飾決算
- 産地偽装
- 品質データの改ざん
- 融資審査書類の改ざん
- 不法投棄
- 性犯罪や重大なハラスメント
このような不正を放置すると、問題が外部に発覚した際に、取引先や消費者からの信用を大きく失うおそれがあります。場合によっては、経営悪化だけでなく、経営者や従業員の職や立場にも影響が及ぶ可能性があります。
内部通報制度の導入状況
消費者庁の「民間事業者の内部通報対応 ‐ 実態調査結果概要 ‐」によると、内部通報制度を導入する企業は年々増加しています。特に従業員数が多い企業では、制度導入がほぼ標準になりつつあります。

出典:消費者庁
上記の画像を見ると、従業員数300人超の事業者では、約9割以上が内部通報制度を導入していることがわかります。前回調査と比較しても導入率は上昇しており、コンプライアンス体制強化への意識が高まっている状況です。
一方で、300人以下の企業でも導入が進んでいます。大企業ほどではないものの、以前より導入割合は大きく増加しており、中小企業でも内部通報制度を整備する流れが広がっています。
この背景には、公益通報者保護法の改正による体制整備義務の強化や、企業不祥事への社会的な目線の厳しさがあります。
近年は、不正が発覚した際の社会的信用を失うリスクが大きくなっており、「問題が起きないこと」だけでなく、「問題を早期に把握し、適切に対応できる体制」が重視されるようになっています。
内部通報制度と公益通報者保護法の関係
内部通報制度と深く関係する法律が、公益通報者保護法です。公益通報者保護法は、公益のために不正行為を通報した人が、解雇や降格、不自然な異動などの不利益な取扱いを受けないようにするための法律です。
公益通報者保護法では、目的について次のように定められています。
この法律は、公益通報をしたことを理由とする公益通報者の解雇の無効及び不利益な取扱いの禁止等並びに公益通報に関し事業者及び行政機関がとるべき措置等を定めることにより、公益通報者の保護を図るとともに、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することを目的とする。
引用:公益通報者保護法
内部通報制度は、この法律に基づいて、企業が社内で不正を受け付け、調査・是正するための体制として位置づけられます。特に従業員数が301人以上の事業者には、内部通報窓口の整備や、通報対応に関わる従事者の指定が義務付けられています。
また、公益通報者保護法では、通報先として以下のようなルートが想定されています。
- 勤務先の内部通報窓口
- 上司など社内の関係者
- 行政機関
- 報道機関などの外部機関
ただし、どこに通報するかによって、保護を受けるための要件は異なります。社内への通報は比較的利用しやすい一方、行政機関や報道機関など外部への通報では、通報内容に根拠があることや、社内通報では証拠隠滅のおそれがあることなど、一定の条件が求められる場合があります。
そのため企業側には、従業員が安心して社内で声を上げられる通報窓口を整備することが求められます。
内部通報と内部告発の違い
内部通報と内部告発はどちらも、企業や組織の不正を知らせる行為ですが、主な違いは「誰に伝えるか」です。
| 項目 | 内部通報 | 内部告発 |
|---|---|---|
| 通報先 | 社内窓口、外部専門窓口、弁護士窓口など、企業が用意した窓口 | 行政機関、報道機関、SNSなど、企業外の第三者 |
| 目的 | 組織内で問題を把握し、調査・是正につなげる | 不正を外部に知らせ、社会的な問題として明らかにする |
| 企業への影響 | 社内で早期対応できれば、信用低下を抑えやすい | 外部に公表されるため、社会的信用を失うリスクが高い |
| 行われやすい場面 | 社内で対応してもらえる見込みがある場合 | 社内で改善されない、証拠隠滅のおそれがあるなどの場合 |
内部通報は、企業が設置した窓口に不正や問題を伝え、社内で調査・是正を進めるための手段です。問題を外部に広げる前に把握できるため、企業にとってはリスクを早期に管理する機会になります。
一方、内部告発は、行政機関や報道機関、SNSなど外部に不正を知らせる行為です。社内での改善が期待できない場合や、組織ぐるみで不正が行われている場合などに選ばれることがあります。
内部告発によって不祥事が発覚すると、企業は社会的信用を大きく失い、経営体制の見直しや事業への影響を受ける可能性があります。そのため、企業には従業員が内部告発に踏み切る前に、安心して相談できる内部通報制度を整えることが求められます。
NaLaLysのAI通報窓口は、AIが24時間365日、通報の一次受付やヒアリングを支援するサービスです。通報内容を5W1Hで整理し、担当者の負担や対応漏れの防止に役立ちます。「内部通報制度を形だけで終わらせたくない」という方は、NaLaLysのAI通報窓口の活用を検討してみてください。
⇨NaLaLysへのお問い合わせはこちら
内部通報制度の義務化(対象企業と未整備のリスク)
内部通報制度は、企業規模によって法的な位置づけが異なります。特に一定規模以上の事業者では、公益通報者保護法に基づき、内部通報に対応するための体制整備が義務付けられています。
ここでは、内部通報制度の義務化について、以下の内容を解説します。
- 従業員301人以上の事業者は体制整備が義務
- 300人以下の中小企業も努力義務の対象
- 制度を整備しない場合のリスク
対象企業や未整備の場合のリスクを確認し、自社に必要な対応を理解しておくことが大切です。
従業員301人以上の事業者は体制整備が義務
従業員数が301人以上の事業者は、公益通報者保護法に基づき、内部通報制度に対応するための体制整備が義務付けられています。
公益通報者保護法では、事業者が取るべき措置について、次のように定められています。
事業者は、前項に定めるもののほか、公益通報者の保護を図るとともに、公益通報の内容の活用により国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図るため、第三条第一号及び第六条第一号に定める公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとらなければならない。
引用:公益通報者保護法
ここでいう体制整備とは、通報を受け付けた後に、内容を確認し、必要に応じて調査・是正まで行える仕組みを整えることが求められます。
また、通報対応に関わる担当者のうち、通報者を特定できる情報を扱う人は「公益通報対応業務従事者」として指定する必要があります。これは、受付・調査・是正などの各段階で、通報者の情報が不用意に漏れないようにするためです。
なお、従業員数には正社員だけでなく、アルバイト、契約社員、派遣労働者なども含まれます。自社が義務化の対象にあたるかどうかは、常時使用する従業員数を基準に確認することが重要です。
300人以下の中小企業も努力義務の対象
従業員数が300人以下の事業者については、公益通報者保護法では内部通報制度の整備に努めることが求められています。
常時使用する労働者の数が三百人以下の事業者については、第一項中「定めなければ」とあるのは「定めるように努めなければ」と、前項中「とらなければ」とあるのは「とるように努めなければ」とする。
引用:公益通報者保護法
法律上は義務ではなく「努力義務」という位置づけですが、近年は企業規模を問わず、内部通報制度を導入する企業が増えています。
企業不祥事による影響は企業規模に関係なく発生します。内部通報制度は、不正の早期発見やコンプライアンス強化につながる仕組みであるため、法的義務の有無にかかわらず、整備を進めることが重要です。
制度を整備しない場合のリスク
内部通報制度を整備していない場合、消費者庁による行政措置の対象となる可能性があります。
特に従業員数が300人を超える事業者は、内部通報制度の体制整備が義務付けられているため、未整備のままにしておくと、以下のようなリスクがあります。
- 報告徴収の対象となる
- 助言や指導を受ける
- 勧告の対象となる
- 企業名が公表される場合がある
- 報告徴収に応じない、または虚偽報告をした場合、20万円以下の過料の対象となる
また、制度が整っていないと、不正や問題を社内で把握しにくくなります。その結果、外部への告発や報道によって問題が発覚し、企業の信用低下につながるおそれもあります。
内部通報制度は、法令対応だけでなく、企業を守るためのリスク管理体制としても整備しておくことが重要です。
しかし、内部通報制度の整備が必要だとわかっていても、窓口対応や記録管理まで社内だけで運用するのは負担が大きいと感じる方も多いでしょう。
NaLaLysのAI通報窓口は、AIが通報の一次受付や内容整理を支援するサービスです。受付内容を管理画面で一元管理できるため、制度整備後の対応漏れや属人化を防ぎたい企業にも適しています。
内部通報制度の整備を進めたい方は、NaLaLysのAI通報窓口の活用を検討してみてください。
⇨NaLaLysへのお問い合わせはこちら
内部通報制度で通報できる内容
内部通報制度では、企業や組織内で発生している不正行為や法令違反などを通報できます。ただし、すべての不満やトラブルが公益通報者保護法上の通報対象になるわけではありません。
ここでは、内部通報制度で通報できる内容について、以下の点を解説します。
- 公益通報者保護法上の通報対象事実
- 社内規程違反や倫理違反も受け付けるべきか
通報対象の範囲を明確にしておくことで、従業員が迷わず相談しやすくなり、企業側も適切に受付・調査・是正を進めやすくなります。
公益通報者保護法上の通報対象事実
公益通報者保護法上の通報対象となるのは、約500の法律で定められた対象法律に違反する犯罪行為、過料対象行為、または法令に基づく処分違反等により刑罰・過料につながる行為です。
すべての社内トラブルや法令違反が、公益通報の対象になるわけではありません。
具体的には、「国民の生命・身体・財産その他の利益の保護」に関わる法律に違反する行為が対象とされています。たとえば、以下のような行為が該当します。
- 会社資金の横領
- 保険金の不正請求
- 性犯罪行為
- 食品の産地偽装
- 品質データの改ざん
- リコール隠し
- 残業代の不払いや労災隠し
- 不法投棄
一方で、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントは、それ自体に刑罰や過料が定められていない場合、直ちに公益通報者保護法上の通報対象事実にあたるとは限りません。
ただし、ハラスメントに関連して暴行、脅迫、強制わいせつなどの犯罪行為が含まれる場合は、通報対象となる可能性があります。企業側は、公益通報に該当するかどうかだけで判断せず、通報内容を丁寧に確認することが重要です。
社内規程違反や倫理違反も受け付けるべきか
前述の通り、ハラスメントなどは内容によって、公益通報者保護法上の通報対象事実にあたらない場合があります。ただし、内部通報窓口では、法律上の公益通報に該当するものだけでなく、社内規程違反や倫理違反に関する相談も受け付けることが望ましいです。
たとえば、以下のような内容も受付対象に含めることで、社内のリスクを早期に把握しやすくなります。
- 社内ルール違反
- ハラスメントに関する相談
- 倫理上問題のある行為
- 不適切な取引や業務対応
受付範囲を狭くしすぎると、従業員が「これは通報してよいのか」と迷い、問題が表面化しにくくなります。内部通報制度を実効性のある仕組みにするためには、従業員が相談しやすいよう、受付対象をわかりやすく示しておくことが重要です。
内部通報制度の導入手順
内部通報制度を導入する際は、窓口を設置するだけでなく、受付後の対応や情報管理まで含めて仕組みを整える必要があります。具体的な導入手順は、以下の通りです。
- 経営層が制度導入の目的を明確にする
- 内部通報対応の責任者と担当部署を決める
- 社内窓口・社外窓口を設置する
- 通報方法を複数用意する
- 公益通報対応業務従事者を指定し、研修する
制度の目的や対応体制が曖昧なままだと、通報窓口を設けても従業員に利用されにくくなります。導入時は、通報者が安心して相談できること、通報後に適切な調査・是正へつなげられることを意識して設計することが大切です。
1. 経営層が制度導入の目的を明確にする
内部通報制度を導入する際は、まず経営層が制度の目的を明確にすることが重要です。目的が曖昧なまま窓口だけを設置しても、従業員からは「本当に通報してよいのか」「通報しても対応されるのか」が見えにくく、形だけの制度になってしまうおそれがあります。
そのため、経営層は以下のような点を整理しておく必要があります。
- 不正の早期発見につなげる
- 通報者を保護する
- 企業の信用低下を防ぐ
- コンプライアンス体制を強化する
- 問題発生時に適切に調査・是正できる体制を作る
内部通報制度は、現場任せで導入するものではありません。経営トップが制度の必要性を理解し、会社として通報を受け止める姿勢を示すことで、従業員が安心して利用しやすい制度になります。
2. 内部通報対応の責任者と担当部署を決める
次に、内部通報を受け付けた後の責任者と担当部署を決めます。
具体的には、誰が通報内容を確認し、どの部署が調査・是正まで管理するのかを明確にしておく必要があります。担当者や部署が曖昧だと、対応の遅れや責任の所在が不明確になるおそれがあります。
また、従業員が安心して通報できるよう、心理的な負担を感じにくい部署や担当者を選ぶことも重要です。経営幹部が関与する不正に備え、社外取締役や監査役などへ直接報告できる体制を整えておくと、制度の透明性を保ちやすくなります。
3. 社内窓口・社外窓口を設置する
内部通報窓口は、社内窓口だけでなく、社外窓口もあわせて設置することが重要です。
下の図は消費者庁が公表する「社内外の窓口設置状況」ですが、多くの企業が「社内・社外の両方」に窓口を設置していることがわかります。これは、通報者が相談しやすい環境を整えるためです。

出典:消費者庁
社内窓口は、社内事情を把握しやすく、迅速に対応しやすいメリットがあります。一方で、通報者からすると「上司や人事に知られるのではないか」という不安を感じやすい側面もあります。
そのため、以下のような社外窓口を設置する企業も増えています。
- 外部弁護士への委託
- 通報受付専門会社の活用
- グループ本社での一括管理
また、窓口を設置する際は、秘密保持にも配慮が必要です。通報者が安心して利用できるよう、メール・電話・チャットなど複数の通報方法を用意し、匿名通報にも対応できる体制を整えることが重要です。
4. 通報方法を複数用意する
内部通報制度を利用しやすくするには、通報方法を複数用意することが大切です。
対面だけに限定すると、通報者に心理的な負担がかかりやすくなります。メール、電話、チャット、Webフォームなど複数の方法を用意することで、従業員が自分に合った手段で相談しやすくなります。
また、実名での通報に不安を感じる従業員もいるため、匿名通報を受け付ける体制も重要です。通報のハードルを下げることで、不正や問題に関する情報を早い段階で集めやすくなります。
NaLaLysのAI通報窓口は、AIチャットボットが24時間365日、通報の一次受付を支援します。PCやスマホから利用できるため、対面や電話では相談しにくい内容も通報しやすくなります。
通報方法を増やし、従業員が安心して相談できる窓口を整えたい方は、NaLaLysのAI通報窓口の活用を検討してみてください。
⇨NaLaLysへのお問い合わせはこちら
5. 公益通報対応業務従事者を指定し、研修する
内部通報制度を適切に運用するには、通報対応に関わる担当者を「公益通報対応業務従事者」として指定する必要があります。
公益通報対応業務従事者とは、通報者を特定できる情報を業務上取り扱う人のことです。通報の受付、調査、是正対応などの過程で通報者の情報に触れる担当者が該当します。

従事者には厳格な守秘義務があり、通報者を特定する情報を漏らした場合、30万円以下の罰金の対象となる可能性があります。そのため、指定するだけでなく、以下のような内容を研修で共有しておくことが重要です。
- 通報者情報の取り扱い
- 守秘義務の内容
- 通報受付後の対応フロー
- 調査時の注意点
- 情報漏えいを防ぐためのルール
また、従事者としての責任を明確にするため、指定時には書面を交付するなど、本人が役割を理解できる形にしておくことが大切です。
内部通報制度を形骸化させないための運用ポイント
内部通報制度は、導入しただけで自然に機能するものではありません。従業員が安心して利用でき、通報後に適切な対応が行われる状態を維持することが重要です。ここでは、内部通報制度を形骸化させないために、以下のポイントを解説します。
- 通報件数が0件でも安心しない
- 匿名通報を受け付ける
- 通報された側の権利にも配慮する
制度を実効性のあるものにするには、通報しやすさと公正な対応の両方を意識して運用する必要があります。
通報件数が0件でも安心しない
内部通報制度において、通報件数が0件であることは、必ずしも不正や問題がないことを意味しません。むしろ、以下のような理由で通報されていない可能性もあります。
- 従業員が通報窓口の存在を知らない
- 通報しても改善されないと思われている
- 通報者が特定されることを恐れている
- 通報後に不利益な扱いを受ける不安がある
- 制度への信頼が十分に形成されていない
そのため、企業は「通報がないから問題もない」と判断するのではなく、従業員が本当に安心して通報できる状態になっているかを確認する必要があります。
経営トップから、通報者の秘密を守ることや、通報を理由とした不利益な取扱いをしないことを明確に伝えることも重要です。従業員に対して「問題があれば声を上げてよい」と継続的に発信することで、制度への信頼を高めやすくなります。
匿名通報を受け付ける
内部通報制度を利用しやすくするには、匿名通報を受け付けることも重要です。実名での通報に不安がある従業員でも、匿名であれば心理的なハードルが下がり、問題を相談しやすくなります。
一方で、匿名通報には注意点もあります。通報者に追加確認ができない場合、事実関係の調査が難しくなり、十分な情報を集められない可能性があります。そのため、匿名通報を認めるだけでなく、以下のような仕組みを整えることが大切です。
- 通報内容を具体的に記入できる受付フォームを用意する
- いつ・誰が・何をしたのかを整理して入力できる項目を設ける
- 匿名性を保ったまま追加確認できる連絡手段を用意する
- チャットシステムや外部窓口を活用する
匿名でも必要な情報を集められる仕組みを整えることで、通報者を保護しながら、調査の実効性も高めやすくなります。
通報された側の権利にも配慮する
内部通報制度では、通報者を保護することが重要ですが、同時に通報された側の権利にも配慮する必要があります。通報内容は、あくまで調査を始めるきっかけであり、通報があった時点で事実が確定するわけではありません。
十分な確認をしないまま通報された側を不利益に扱うと、以下のような問題につながる可能性があります。
- 名誉毀損
- プライバシー侵害
- 不当な人事措置
- 職場内での不必要な混乱
そのため、通報を受けた後は、関係者の秘密を守りながら、事実確認を慎重に進めることが重要です。通報者保護と公正な調査のバランスを取ることで、制度への信頼性も高まります。
内部通報制度に関するFAQ
ここでは以下の、内部通報制度に関してよくある疑問をFAQ形式で解説します。
- 通報者を保護するために企業が守るべきことは?
- 内部通報を受けた後の対応フローは?
- 保護の対象となる通報者の範囲は?
内部通報制度を適切に運用するためには、通報者保護だけでなく、受付後の対応手順や保護対象の範囲も理解しておくことが重要です。
通報者を保護するために企業が守るべきことは?
企業は、内部通報をした人が不利益を受けないように以下のような点を守る必要があります。
- 通報を理由に解雇・降格・異動などの不利益な取扱いをしない
- 通報者を特定できる情報を厳格に管理する
- 通報を妨害したり、通報者を探したりしない
通報者が**「通報したら不利になる」と感じる状態では、制度は機能しません**。企業は通報者を守る姿勢を明確にし、安心して声を上げられる環境を整えることが重要です。
内部通報を受けた後の対応フローは?
内部通報を受けた後は、受付から是正措置、フォローアップまで段階的に対応します。

通報を受けた時点で事実が確定するわけではないため、まずは内容を確認し、調査の必要性を判断します。そのうえで、関係者へのヒアリングや資料確認を行い、必要に応じて追加調査を実施します。
調査結果を踏まえて是正措置を行った後は、通報者や調査協力者へのフィードバック、再発防止に向けたフォローアップまで行うことが重要です。
保護の対象となる通報者の範囲は?
公益通報者保護法では、正社員だけでなく、さまざまな立場の人が保護対象に含まれます。主な対象者は、以下の通りです。
| 区分 | 対象者 |
|---|---|
| 従業員 | 正社員、派遣社員、アルバイト、パートタイマー、業務委託先の従業員など |
| 役員 | 取締役、監査役など経営に関わる人 |
| フリーランス | 業務委託関係にあるフリーランス、契約終了から1年以内のフリーランス |
| 退職者 | 退職から1年以内の従業員 |
内部通報制度は、現在働いている正社員だけを対象にするものではありません。さまざまな立場の人が安心して通報できる体制を整えることが重要です。
内部通報窓口の設置は「Nalalys」
内部通報制度は、窓口を設置するだけでなく、通報しやすさや受付後の対応体制まで整えることが重要です。しかし、実務では通報対応が担当者任せになったり、記録管理に手間がかかったりするケースもあります。
NaLaLys AI通報窓口は、AIチャットボットが通報の一次受付からヒアリングまでを支援するサービスです。24時間365日対応できるため、担当者の負担を抑えながら、通報しやすい環境を整えることができます。

主な特徴は以下の通りです。
- AIが24時間365日、自動で通報受付
- 「いつ・誰が・何をしたか」などを5W1Hで整理
- 通報内容をダッシュボードで一元管理
- 通報者との継続コミュニケーションが可能
- 国内サーバー管理・学習利用なし
特に、法務・コンプライアンス部門の少人数運用や、上場準備企業の内部通報窓口、人事・ハラスメント相談窓口などで活用しやすいサービスです。また、AIが通報内容を整理・可視化することで、担当者は重要な案件を優先して確認しやすくなります。

メールや電話内容をExcelへ転記するような作業負担も軽減できるため、内部通報制度を「設置だけで終わらせない」運用につなげやすくなります。
内部通報制度をこれから整備したい方や、現在の運用負担・形骸化に課題を感じている方は、NaLaLys AI通報窓口の導入を検討してみてください。
⇨ NaLalysのAI通報窓口に関するお問い合わせはこちら