2026/02/05
解説
品質不正を予防・対策する3つの方法。内部統制と現場管理の強化が鍵
「なぜ品質不正が起こるの?」「品質不正を防ぐための対策を知りたい」と考える方は多いのではないでしょうか。品質不正は、検査や製造、届出の各工程において発生する可能性のある不正行為です。
品質不正を防ぐためには、原因を把握したうえでそれぞれの原因に応じた対策を検討する必要があります。そこで本記事では、
- 品質不正の種類や発生状況
- 品質不正が発生する原因
- 品質不正を防ぐための対策
について詳しく解説します。企業で不正対策に取り組む担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
「品質不正を予防する方法はある?」「不正が起きる前に対応したい」という方はNaLalysのサービスを活用してみてはいかがでしょうか。
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目次
品質不正とは
品質不正とは、製品の製造や出荷の段階であらかじめ定められた品質基準や公的規格、あるいは顧客との契約に反する不適切な行為を行うことです。近年、国内の製造業において品質不正が表面化するケースも見られ、企業の社会的信用の失墜やリコール費用の発生など、経営の根幹を揺るがす深刻な事態へと発展しています。不正の手法は慢性化しているケースも多く、単なる「個人のミス」ではなく「組織的なガバナンスの欠如」として捉え直すことが急務となっています。
ここでは、適切な品質不正対策を講じるための前提知識として、以下の2点を詳しく解説します。
- 品質不正の種類
- 品質不正の発生状況
品質不正の種類
品質不正は大きく分けて「検査不正」「製法不正」「届出・表示不正」の3種類があります。それぞれの概要は以下のとおりです。
検査不正
- 検査の不実施・不適正な実施
- 検査結果の改ざん・ねつ造
- 無資格者の登用 など
製法不正
- 品質に関連する法令違反
- 第三者認証規格違反
- 契約に反する材料の使用や作業工程 など
届出・表示不正
- 届出不対応
- 届出文書の改ざん
- 公的規格違反 など
検査不正は、検査データの改善や数値の捏造などのことです。顧客と事前に合意したスペックに届いていない場合などに数値を書き換えるといった行為が行われます。
製法不正は、決められたプロセスや契約書に記載された手順を守らず、無断で製造工程を変更したり、安価な代替材料を使用したりする行為です。こうした不正は、一見すると製品の見た目や性能に直ちに現れないことも多いため、現場の独断や『これくらいなら大丈夫だろう』という慢心から常態化につながる可能性があります。
そして、届出・表示不正は、成分表示の偽装や産地偽装など届出文書の内容を事実と異なるものにする行為です。このような品質不正は、法的リスクだけでなく、ブランドイメージへの打撃となり、市場からの撤退を余儀なくされる可能性も孕んでいます。
品質不正の発生状況
品質不正にさまざまな種類があることを理解したところで、実際に品質不正がどのくらい起こっているのか、発生状況を確認しておきましょう。
日本能率協会総合研究所が2025年に実施した調査によると、**最近5年間で品質不正があったもしくは発生の懸念があると回答している人が34.1%**であることがわかりました。

上場企業で生産・製造、開発、営業のいずれかの部門で働く従業員900人を対象に実施されたこちらの調査では、
- 品質不正が「あった」と回答している人が18.5%、
- 発生事実はないが、実際にはあるかもしれないと思うと回答した人が15.6%
でした。両者を合わせると3人に1人が品質不正に遭遇もしくは発生の懸念を抱いていることとなります。品質不正と聞くとニュースなどで見かけるものというイメージを持っている人もいるかもしれませんが、実は決して珍しいことではありません。他人事と捉えずに、自社でも発生するかもしれないと考え、対策を検討する必要があります。
品質不正が起きる原因
品質不正が発生する原因は1つだけではなく、さまざまな要因が関係しています。ここでは具体的にどういった原因が挙げられるのか、以下の4点について解説します。
- 不正のトライアングル
- 品質基準を満たすには時間を要する
- 社内ルール・管理体制の不備
- 現場の状況が見える化できていない
不正のトライアングル
品質不正が発生する原因の1つとして、不正のトライアングルが挙げられます。これは、「不正の機会」「不正の動機」「不正の正当化」という3つの要素のうちどれか1つでも企業内に存在していると品質不正が起こる可能性があるというものです。

不正の機会
- 不正を行ってもそれが発覚しにくい環境やシステムのこと
- 手書きによるデータの記録や業務の属人化などは不正の機会になる
不正の動機
- 現場における納期や売り上げ達成のプレッシャーなどのこと
- 業務における失敗を隠したい気持ちや会社に対する不満が不正の動機になるケースもある
不正の正当化
- 従業員が不正を必要な行為であると正当化すること
- 不正を行っても品の品質には影響はない、他社もやっているといった考えが例として挙げられる
実際に不正のトライアングルが企業の不正につながっているケースもあります。例えば、ある電気機器会社では、契約よりも多い工数を行い、費用を多く計上することで過剰請求を行なっていました。この不正は赤字を抑えたいという不正の動機、さらには事業の特性上監査による追及が甘いという不正の機会がありました。また、以前からの慣習であるといった不正の正当化も見られました。
不正のトライアングルは、品質不正が発生する原因の1つです。万が一品質不正が発生してしまった場合は、上記の3つの観点をチェックすることが大切です。
品質基準を満たすには時間を要する
あらかじめ設定された品質基準を満たした製品を作るには時間がかかります。納期まで期間があり、時間に余裕を持って製造に取り組めるのであれば、問題ありません。しかし、以下のような要因によって納期までに対応できなくなる可能性もあります。
- 余裕のないスケジューリング
- 人手不足
納期が迫っているものの、時間をかけている余裕がない、人手が少なくて十分な確認作業ができないといった場合、納期に間に合わなくても品質基準を満たすか、納期に間に合わせるために品質不正を行い納品するかという状況になります。特に、製造現場が「納期遅延=絶対悪」という強いプレッシャーに晒されている場合、目先の納期を優先して品質を犠牲にする判断が下されやすくなりかねません。品質不正を起こさないためには、現場に過度な負担を強いない現実的なスケジューリングと、時間を考慮したうえで製品作りに取り組める環境の整備が必要不可欠です。
社内ルール・管理体制の不備
品質不正は、社内のルールや管理体制が不十分であるために発生するケースもあります。
例えば、
- 品質基準から外れた製品をが出てきた時に現場の社員に対応を全て任せてしまっている
- 上司に何か言われることを恐れて報告をしない
など、上司の目が届かない環境やコミュニケーションがとりにくい環境も品質不正を引き起こしやすいです。「ミスを報告すると叱責される」という恐怖心が、隠蔽の土壌を作り出してしまいます。
また、管理体制の不備により、明確な判定基準やエスカレーションのフローが整備されていないと、現場担当者は「この程度の数値誤差なら許容範囲だろう」という独断に陥りやすくなります。
現場の状況が見える化できていない
現場の状況が見える化されていないと、品質不正をしても問題ない、バレないという状況になり、問題が起こりやすくなってしまいます。製品を製造する場合、必ず製品基準を記録したデータがあります。本来であれば、そのデータを確認することで品質不正が発生していないかどうかを確認できます。
しかし、こういったデータによる見える化がされていないと、製品の品質や製造時の状況などについて把握できないため、不正が発生してしまいかねません。特に、アナログな記録管理に頼っている現場だと、データの改ざんや書き換えが容易に行えてしまうという脆弱性があります。ブラックボックス化した工程をデジタル化によって見える化し、数値を検証できる仕組みを構築することが、不正への抑止力となります。
見える化の欠如は、不正発覚後の事後対応を遅らせるリスクを伴うものです。例えば、製造工程や検査結果のトレーサビリティが確保されていない状態だと、問題が発覚した際も「どのロットに、どのような影響があるのか」がすぐにわからりません。そうなると初動の対応が遅れ、リコールの拡大、ブランドイメージの低下などにつながります。
品質不正を防ぐ3つの対策方法
品質不正が発生する原因を踏まえたうえで、どのようにして発生を防ぐのか、対策を検討する必要があります。ここでは具体的な対策として以下の3点を解説します。
- 組織風土を改善する
- 不正の報告ルートの確立
- 監視力の強化・見える化をする
組織風土を改善する
上司に対してものを言えない環境であるために報告をせずに品質不正をしてしまうといった組織風土を改善できれば、不正の発生を防ぐことができます。例えば、
- 失敗しても周囲がサポートしてくれる環境
- 上司からの過度なプレッシャーや周囲からのストレスを感じることなく業務に取り組める環境
などは品質不正も発生しにくいでしょう。
あるメーカーでは、品質不正の発覚した際に企業の課題の1つとして組織風土が指摘されました。これに対して役職ではなく「さん」付けを推奨する、1on1ミーティングの浸透に努めるなど、現場で働く従業員の心理的な安全が確保される環境作りに取り組みました。その結果、従業員のエンゲージメントスコアは品質不正発覚後に落ち込んだものの回復傾向を示しています。組織風土の改善に取り組んだことで、社内でのコミュニケーションのあり方も変化し、問題が発生した時でも声を上げやすい環境となりました。
不正の報告ルートの確立
他の従業員が品質不正を行っていることを認識した時など、不正の報告ルートを確立することも予防策の1つです。例えば、直属の上司や専任の部署、さらには通報窓口となる弁護士事務所のような第三者に報告できる環境が整っていれば、何かあったときに速やかに報告できるのはもちろん、品質不正に対する抑止力としても機能します。
そのほかにも、
- 日々のレポート
- 報告書
- 内部通報制度
などを報告ルートとして活用することも可能です。特に内部通報制度は、品質不正対策における最後の砦としての役割が期待されます。制度の整備にあたっては、通報者のプライバシーを守るなど、秘密保持の徹底が必要不可欠です。
監視力の強化・見える化をする
品質不正ができないように、監視力を強化し、製造現場を見える化することも対策の1つです。例えば、従来は紙で点検記録を行っていたといったケースでは、システム上で管理することで、情報の見える化が進みます。
また、過去の情報の履歴も確認でき、さらには情報の共有もスムーズに行えるなど、現場で何が起こっているのかを把握しやすくなります。他の従業員も現場の状況を把握している状況では、不正を働く機会が発生しにくいため、不正の動機を持った人がいたとしても品質不正は発生しにくいでしょう。
システムによる監視力の強化は業務のさまざまな場面で適用できますが、具体例の1つとしてメール監視が挙げられます。不正に関連するワードを検知できるように事前に設定しておけば、すべてのメールを担当者がチェックする手間が省け、リスクの高いメールのみを確認できるようになります。
その結果、メールの監視業務にかかる時間や手間、負担を軽減できるため、品質不正の予防はもちろん、業務効率化にもつながるでしょう。
「監視力を強化したい」「工程の見える化を実現したい」という方は、NaLaLysへご相談ください。NaLaLysでは、膨大なメール・音声・チャットをAIで検知するサービスを提供。
1つ1つのデータの不正リスクを評価し、データを自動的に抽出するため、早期に不正リスクを発見・対処することができます。まずはお気軽にお問い合わせください。
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品質不正の事例と対策方法
実際に品質不正が発生した企業ではどのような取り組みを行っているのでしょうか。ここでは、品質不正が発生した企業の事例とそれに対する具体的な取り組みについて解説します。取り上げているのは以下の2つの事例です。
- 日本の自動車メーカー5社の事案
- 大手電機メーカーの事案
日本の自動車メーカー5社事案
課題
- 「短期開発」体制が品質不正の発生につながった
- 法規認証業務に関する不十分な認証プロセスがあった
取り組み
- 開発標準日程を従来の1.4倍に伸ばす
- 「実行/自主点検」「確認」「監査」という3階層での認証プロセス体制を構築する
成果
- 型式申請プロセスが見直され、認証業務における「技術部門だけで完結しない」統制が整備されつつある
日本の自動車メーカー5社では、車両の安全性に関する認証試験において不正が発覚し、製造ラインをストップする事態となりました。
品質不正が発生した原因としては、開発スピードを重視するあまり、納期を遵守するための時間が逼迫してしまったことが挙げられます。また、短期開発に伴い、法規認証業務にも十分な時間を割けなくなり、認証プロセスが不十分になっていました。
このような課題に対して、短期開発の体制を改善するために開発にかかる日程を従来の1.4倍にまで伸ばすことで時間に余裕を持たせるようにしました。また、認証プロセスにおいて新たな監査体制を構築し、「実行/自主点検」「確認」「監査」の3つの階層で認証プロセスを実行できるようにしています。この3つのプロセスを経たうえで品質保証の担当部署が認証プロセスの確認を行う仕組みとなっています。
大手電機メーカーの事案
課題
- 進捗や評価環境の可視化不足と、リソース不足による過負荷
- 法規・規格への理解不足と、閉鎖的な組織風土
取り組み
- 業務可視化に基づく人員増強と、内部統制システムの構築
- 1on1やコーチングによる対話型組織への改革
成果
- 従業員エンゲージメントや組織風土指標の改善傾向
- 取り組みに対する社外アワードの受賞
ある総合電機メーカーでは、鉄道車両用の空調装置などにおいて不適切な検査が判明しました。これは、現場の状況がわからず、作業が見える化されていないこと、リソースが不十分で現場に負荷がかかっていたことなどが原因となって発生したものです。また、法律や規格に対する現場の理解不足、そして意見を言いにくい組織風土なども品質不正につながっています。
このような状況に対して、同社では作業の見える化に取り組み、リソースがどのくらい必要なのか、具体的に把握できるようにしました。また、組織風土改善に向けて、幹部に対するコーチングのほか、1on1やタウンミーティングなど継続的なコミュニケーションにも取り組んでいます。
こういった取り組みの結果、問題に対する声を上げやすい環境が構築され、不正の発覚によって一度は下がっていた従業員のエンゲージメントスコアが回復し始めたほか、取り組みに関して社外でのアワードを受賞するなどの成果が見られました。
品質不正を予防・対策できる「NaLalys」
ここまで、品質不正の概要や発生の原因、防ぐための対策などについて解説しました。品質不正を防ぐためにはさまざまな対策がありますが、その1つが、先ほども紹介しているように見える化による監視力の強化です。中でもおすすめなのが、NaLaLysが提供するメール監視システムです。ここでは、NaLaLysが提供するシステムの特徴を2つ紹介します。
- AI×豊富なノウハウで不正を早期発見
- 監視業務の自動化による業務効率化を実現
AI×豊富なノウハウで不正を早期発見
NaLaLysのメール監視システムでは、事前に設定されたキーワードやルールだけでなく、複数のアプローチを組み合わせることで、品質不正をはじめとした広範囲の不正検知を実現しています。
これにより、人の目では気づきにくい文脈の違和感や巧妙に隠された不正の予兆を早期にキャッチできるため、品質不正が大きな問題になる前に手を打てるようになります。
また、メール監視システムは、不正調査の専門家の豊富な知見をもとにサービスを開発・提供しています。そのため、NaLaLysが独自に作成した500個以上のキーワードリストを組み合わせて利用可能です。

自社でゼロから品質不正のサインを定義する手間を省き、導入したその日から、専門家の知見に基づいた高度なリスク検知体制を構築できます。
「品質不正対策をしたいものの、何から始めればいいのかわからない」といった企業でも導入しやすいシステムです。
監視業務の自動化による業務効率化を実現
NaLalysは、品質不正などの監視業務の自動化を実現し、それに伴う業務効率化にも貢献してくれるものです。
分析から不正リスクの可能性が高いデータを抽出し、そのハイリスクデータを企業の担当者がWebブラウザで確認する仕組み。自分でメールを1つずつチェックする必要がなく、AIを用いたシステムを駆使することで大幅にモニタリング工数を削減できます。監視の精度を落とすことなくチェック時間を短縮できるため、本来注力すべきコア業務や再発防止策の策定といった業務にリソースを割ける点がメリットです。

メール監視を人手で行う場合、キーワード検索で不正に関連するメールを探すこととなりますが、メールの数が膨大で工数が多くなるなど、非効率的です。一方で、NaLalysを使えば1時間で完了するだけでなく、ハイリスクメールを抽出してくれるため、担当者はそれを確認するのみです。
以下の資料では、NaLaLysの導入による効果やメリットを整理して解説しています。具体的にどういった業務でどのように活用できるのか、詳しい事例も取り上げているため、まずは無料でダウンロードしてみてください。
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品質不正の対策についてのまとめ
品質不正は、上場企業の従業員の約3分の1が発生しているもしくは発生の懸念を抱いていることから、決して他人事ではありません。なぜ品質不正が発生するのか、原因を理解したうえで、予防策を検討することが大切です。具体的には、組織風土の改善によるコミュニケーションの促進、不正報告ルートの確立、そして監視力の強化があげられます。
監視力の強化を実行するためには、人手による作業だけでは人員やコストなどのリソースの面で限界があります。そのため、NaLalysのようなシステムの活用を検討してみてください。

NaLalysは、生成AIと不正調査の専門家のノウハウを組み合わせることで、より精度の高い不正検知を実現するメール監視システムです。担当者はシステムが抽出した不正のリスクが高いメールのみをチェックすればいいため、監視力強化と業務効率化を両立してくれます。興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
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